福島県教育センター所報ふくしま No.65(S59/1984.2) -024/042page
- 学校経営評価実施後の教職員の意識の変容
調査8 学校経営評価をする場合,本校ではどのようなねらいに重点をおいて評価したらよいと思いますか。次の項目から4つ以内をえらんで○をつけてくたさい(400%)
選 択 項 目 1.教育目標,経営方針の達成度を確認する。 47%→61% 2.努力目標,実践事項の達成度を確認する。 43%→54% 3.経営評価の結果を次年度の計画立案の基礎資料とする。 60%→72% 4.経営の現状を明らかにして.学校課題に取りくむ。 57%→82% 5.教育目標,経営方針などの理解の程度を確認する。 20%→13% 6.学校の施設・設備・人員など諸条件を把握する。 13%→5% 7.教職員が教育計画実践の成果を確認する。 47%→26% 8.教職員が自己評価をして専門性を確立する。 20%→18% 9.学校経営について教職員が理解を深める。 20%→33% 10.教職員が経営参加の意欲と責任を持つ。 23%→18% 11.教職員の協力態勢や連帯感を深める。 50%→18% <考察>
- ア 評評のねらいに対して,3・4は評価結果をもとに更に学校の現状を分析し,それを計画立案の段階の基礎資料とし,経営改善をはかろうとする考え方で,今回の調査で解答率が前回に比べ著しく高かったことは,学校経営評価に対する理解が深まったと評価できる。
- イ 1.2については,教育目標とそれを達成させるための教育方針,努力事項,実践事項がどのように実践されたかを確認する項目で,学校経営をより前進させるためには是非必要な項目である。
今回の調査で結果から考察すると教職員の意識が一層高まったとみることができる。- ウ そのほか,9の項目が高い比率を示していたが,このことは学校経営に対する理解が深まり,経営参加の意欲とモラールを高まりを示すものである。
- 研究の成果
- ア 今回行った評価では,学校経営評価について理解を深めるために,手びきを作成しまた,評価領域の決定,評価用具の作成などに,できるだけ教職員に参加してもらい,組織をとおして作業を進めた結果,教職員の学校経営に対する理解が深まり,教職員に経営参加の意欲と協業することの大切さを理解してもらう機会になったことは収穫だった。
- イ さらに,学校経営の近代化がさけばれている昨今,たしかな基礎資料をもとに,学校の持つ問題点を明確にし,教師集団自らの課題としてとらえ,教職員の全体的・創造的な活動によって,経営の改善がはかることは誠に望ましいことであり,今後の成果が期待できる。
5 今後の問題点
(1)評価用具の作成について
(2)評価の方法について
- 今回は「教育課程の経営」という観点で評価領域の精選を行ったが,果たして,この領域で妥当な評価ができたのか今後検討しなければならない課題である。
- 評価は,観点をわかりやすい表現にすれば,評価しやすいが,評価観点が多くなり,評価者に負担がかかる結果になるので,評価観点については再吟味する必要がある。
- 評価の基準は,評価者の主観によるわけで,教師の過去の経験,教育観,年令,性別などによって到達度に差が生じる。
客観化された評価尺度の作成が必要と感じられた。- 記名すると本当の評価ができないという意見もある。無記名にすると無責任な評価になりがちである。今後のあり方を検討したい。
- 学年一回の評価であったが,今後は学期どとに領域をきめるなど,年間を通じた計画性のある評価が必要と思われた。
<主要参考文献>
- 研究資料集 第二集(学校経営改善に関する研究) 福島県教育資料研究会
- 研究資料集 第三集(教育課程の経営に関する研究) 福島県教育資料研究会
- 新版「学校教育の手引き」 福島県教育庁義務教育課
- 学校経営に関する研究(昭和55・56年度学校経営講座研究報告書) 福島県教育センター