福島県教育センター所報ふくしま No.65(S59/1984.2) -030/042page

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 これらの自己評価およびアンケート調査などの集計・分析の結果,本校では総体的に,一応適切な進路指導が行われているといえるが,いろいろ改善すべき点も指摘された。評価の低い項目については,今後,学校全体の進路指導と関連づけながら,改善を図っていかなければならない。

 一方,「進路ノート」を活用しての進路学習にも,同一学年が同一指導案によるロングホームルームの展開や「進路発達自己診断シート」による生徒の進路に対する意識の発達度を把握するなど,工夫・改善の手が加えられ,意欲的にすすめられている。

5.58年度の研究内容と「個人指導力ード」を活用した進路頼政の実践の概要

〔1〕研究内容
 58年度の研究内容としては,前年度の評価およびアンケート調査などの集計・分析の結果に基づき,次の項目を重点的に取り上げ.実践研究をすすめている。

  1.  進路指導の意義や必要性などについて,教師間の更に徹底した共通理解を図るための校内研修会の計画・実施
    a 進路指導の意義と基本的性格について
    b 高校教育課程での位置づけについて
    c 生徒指導と進路指導との関係について
    d 進路指導と各教科との関連について
    e 進路指導をすすめる上でのHR担任教師の役割と任務について
    f 進路指導についてHR担任教師の留意すべき点について
  2.  進路学習の推進
    a 「進路ノート」のより効果的な活用
    b 「進路発達自己診断シート」の個人資料への活用
  3.  進路相談を充実させるための基礎資料の整備
    a 生徒指導部・教務・進路指導部の各資料の統合による,生徒理解のための個人資料の整備
    b 進路相談の内容および指導方法の工夫・改善
 紙面の都合で,本年度の実践内容のすべてについての記述を割愛せざるを得ないが,次にその一部を紹介したい。詳しくは,58年度第2分冊をご覧頂きたい。

〔2〕「個人指導力ード」を活用した効果的な進路相談の実践の概要
 開校以来,教育相談的な考え方を重視し,卒業学年に偏ることのないように配慮しながら,進路指導年間計画の中に位置づけ,各学年とも定期個別相談三者懇談などを計画・実施してきた。しかし,眼前の一人一人の生徒が,自己の進路についてどのように考えているか,その考えをどのように育ててやらなければならないのか,また,その問題や悩みをどのように解釈し,どの程度明らかにしてきたかなどを考えるとき,いろいろ改善すべき点があるように思われる。

 現状の反省に基づき,2年次の研究内容の重点事項の一つとして,進路相談を充実させるための基礎資料の整備をとりあげ,従前の「学習に関する項目」や「受験の記録」中心の個人資料に改善の手を加え,生徒指導・教務・進路指導の3つの分野を統合した個人資料,すなわち「個人指導力ード」を作成するに至った。一斉指導としての進路学習に「進路ノート」を活用したホームルーム指導がすすめられており,生徒に「進路ノート」を用いた学習によって自己理解を深化させるとともに,個別指導としの進路相談に「個人指導力ード」を有効に活用し,教師の生徒理解を充実させていきたい。生徒自身に関する生徒と教師の相互の理解が十分になされ,生徒に適切な進路情報を提供したりすることによって,進路の選択・決定に適切な指導・援助が行われなければならない。

  1.  学年の主目標と進路相談との関連
     進路相談をHRでの生徒の発達段階に即して行われる集団指導と並行して行う。したがって,次図(資料3)に示した進路指導年間計画にそった各学年の主目標に掲げた内容とロングホームルームの年間計画の中の進路学習の月間の主題について展開される指導事項の内容を中心にして,「個人指導力ード」との関連(資料4)を考慮しながら,相談を深めていく。つまり,1年生は進路希望や進路計画に関する相談,2年生は進路情報や適性に関する相談,3年生は進路決定や卒業後の生活適応に関する相談が中心になる。

    (資料3) 進路指導年間計画と進路相談との関連


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