福島県教育センター所報ふくしま No.65(S59/1984.2) -032/042page
ともに,生徒の進路に関するいろいろな個人的な問題や悩みを解消するのを助けるように努力している。
「進路相談カード」の利用の仕方や事後処理については,次のように行われる。
- a 各教室に,生徒がいつでも利用できるように進路相談カードを常備しておく。
- b 自主相談を希望する生徒は,カードに必要事項を記入して,HR担任に提出する。
- c 進路指導部の相談係は,相談担当者,相談日時および場所を指定し,HR担任を通じて生徒にカードを返す。その際,相談担当者にもカードのコピーを渡し,相談を依頼する。
- d 相談担当者は,「個人指導力ード」を活用しながら相談にあたる。
- e 相談終了後,相談担当者は,「個人指導力ード」の所見欄に記録するとともに,カードのコピーをHR担任に渡す。
- f カードのコピーは,HR担任がクラスどとに整理し,保管する。
- 進路相談に必要な個人資料と進路情報
進路相談の目的は,生徒のよりよい進路の選択や適応に助力・助言をすることである。自己の進路を選択・決定し,将来に向けて自己実現に努めるのは生徒自身である。したがって,生徒自身の進路に対する意識や態度・能力の向上がみられるようでなければ,進路指導の効果も期待し得ない。しかし,この年代の生徒は,職業に関連した社会の仕組みや,そのあり方などに関する知識が乏しい上に,将来の進路に対する成熟も遅れ勝ちなので,その形成に役立つ資料を準備し,提供することが大切である。進路意識の形成がなされないまま,進路情報や資料を与えられたとしても,自己の性格や能力などに対して,不明確な意識をもっていたり,高校への入学動機のあいまいさや学校や学科への不適応があったりすると,進路相談も予期した成果を挙げ得ない。進路意識の形成は,外的刺激やいくつかの事柄に対する理解の上に,除々に行われるものである。換言すれば,生徒のもっている潜在的な意識に,励ましや賞揚も含む刺激を与えて,それを顕在化することである。そのためには,それに必要な情報や資料を相談の形で提供し,活用することになる。
- a 個人資料
進路相談のために,一人一人の生徒についての,いわゆる個人資料の収集・整備に努め,常に相談に活用できるようにしている。本年度から,新たに作成された「個人指導力ード」は,学年単位で,スチールケースに整理・保管され,HR担任だけでなく,すべての教師が活用できるようになっており,相談を担当する教師が,一人一人の生徒を理解するのに役立つばかりでなく,生徒自身が自己を正しく理解するために必要な心理的・身体的・社会的事実に関する資料でもある。- b 進路情報
進路に関する情報・資料などについては,進路指導部から提供するものが多いが,学年ごとにあるいは学級担任として,生徒の必要に対応させながらいろいろ準備するように努めている。その主なものとしては,などがあげられる。
- イ 進路の手引き
- ロ 進路資料
- ハ進路ニュースおよび進路に関する資料
- ニ 定期刊行物
- ホ 進路講義室の情報資料
進路講義室には,進学・就職に関する資料および情報が収集・整理されており,進路センター的な場として,全生徒に利用されている。6.おわりに
紙面の都合で,この稿では,進路指導に関する研究の実践の内容について,詳細にわたって述べることができなかった。主題設定の趣旨・研究内容・研究方法などについては,昭和57年度第1分冊をど覧頂きたい。
また,58年度の研究内容と実践の経緯についても,近く昭和58年度第2分冊として,まとめることになっているので,詳しくは,昭和58年度第2分冊をご覧頂ければ幸いである。