福島県教育センター所報ふくしま No.65(S59/1984.2) -033/042page
アイディア紹介
1part 2時間扱いの指導過程
白河市立白河第二中学校 教諭 東 条 正 記
1.はじめに
各Lessonの各partは,1時間単位で扱えるように編集されている。これをそのまま実施したとすれば,1年75時間.2年68時間,3年66時間ですますことができる。年間105時間に対する余剰時間をいかに活用するか。ここに年間指導計画の工夫の必要が生じてくる。そこで,Target Sentence の示してあるpartに対しては,2時間扱いの指導計画をたてて実践してみた。
2.実践のあらまし
指導過程の工夫をするために,次のような手順をふんで試みた。
(1)教材構造図の作成
教材の構造を「中心観念−基本要素−具体要素−前提条件」のもとに図式化した。
(2)目標分折表の作成
英語科の達成されるべき能力(指導要録の観点別学習状況の5つの観点)を横軸に,教材構造図の基本要素を縦軸にして,目標分折表を作成して,到達目標を引き出した。
(3)生徒の実態把握
本時と関連する既習事項について,事前テストを実施し,その定着度やつまづきの傾向を把握した。
(4)指導過程の類型化
教材のねらいに応じて,指導過程の基本型を次の2つにおさえた。
- 基礎的・基本的事項の定着と表現力を伸ばすための基礎を養うことを中心とした指導過程(A型の指導過程とした)
- 読解力をねらった内容理解中心の指導過程(B型の指導過程とした)
3.A型、B型の指導過程の実践例
(1)A型の指導過程(第1時)
(2)B型の指導過程(第2時)
- <Review>
Target Sentenceに対する関連事項の復習- <Presentation of the new materials>
目標文が用いられる場面を,絵やOHPなどの教具を利用して設定し,既習の英語で,その目標文を口頭で導入した。- <Structure>
2で聞きとった目標文と1で確認した既習文とを対比させ,文の共通点や相違点などを発見させる。(板書する)- <Practice>
Mim−MemやSubsitutionなどによって,目標文に慣れさせる。- <Production>
学習形態を工夫し,P(丸囲み)−P(丸囲み)dialogや問題演習をさせる。- <Consolidation>
板書事項をノートにとらせる。次時の課題を確認させる。
- <Review>
前時の学習事項の確認と定着を図る。- <Pronunciation>……New words
- <Reading>
Model→Chorus→Individual→Silent- <Comprehension check>
T−F questionやQ&Aによるcheck- <Consolidation>
本文のKey sentence にアンダーラインを引かせる。本文の概要をまとめる。4.おわりに
実践して,成果と言えることは
(1)1単位時間にゆとりが出てきて,個別指導の範囲が広くなったこと。
(2)場面設定を工夫することにより,生徒の課題に対する取り組みに真剣味が,出てきたこと。
(3)学習形態の工夫(グループ学習の導入)により,学習活動に積極性が見られてきたこと。
以上であるが,今後,さらに考えていかねばならないことは,生徒集団を,望ましい生活集団の形成とともに,どのような学習集団に育てていくか,である。次に,考えていかねばならないのは,言語の習得過程である。中学生という発達段階は,幼児期の母国語の習得過程とは異なると思われる。このような観点から,今後も工夫をしていきたい。