福島県教育センター所報ふくしま No.65(S59/1984.2) -034/042page

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アイディア紹介

物が水に溶ける様子を観察する一方法

−食塩の溶ける様子−

桑折町立醸芳小学校 教諭  古 内 利 勝

1.はじめに

 物が水に溶ける様子は,2年の「とかしてみよう」,4年の「ものをとかそう」,5年の「水溶液のこさ」,6年の「水溶液の性質」でそれぞれ取り上げる。以下,5年の「食塩が水に溶ける様子」を観察させるための実践の一端を示す。

2.実践のあらまし

 食塩は身近なものであるが,その溶け方や濃さなどは必要感がないため関心が薄い。そこで,まず,食塩が水に溶ける様子をじっくり観察させ,その溶ける様子から溶けた食塩の存在に目を向け,やがて重さに気付いていくような単元の導入を考えた。

(1)問題をとらえる段階

  1.  指示された実験をし,袋の中のものが溶ける様子を観察する。
    (図1)
    (図1)
  2.  食塩の溶ける様子をくわしく観察し,新たな疑問をもつ。
    (図2)
    (図2)
  3.  食塩水ができたことを調べる。
    (図3)
    (図3)
    • スポイトでAをとり味をみる。
    • Bをとり,味をみる。
    • 水で溶かした食紅をスポイトで静かに入れる。
      水で溶かした食紅をスポイトで静かに入れる。
(2)課題をとらえる。
   (以下省略)

3.実践して

(1)食塩が水に溶け,滝のようになって流れ落ちていく様子に驚き,目をかがやかせていた。
観察する生徒
(2)図1で,ビーカーを使うことも考えたが,コーヒーなどのビンのほうが,ガラスに見られるすじのような線が気にならずよかった。
(3)袋の付近にできる水と食塩水の境は,容易には見つからなかった。食紅の水溶液を入れるとその境がはっきりした。
(4)OHPを使うことによって,溶ける様子,水と食塩水との境がより鮮明にとらえることができ,効果的であった。

4.おわりに

 食塩が水に溶ける様子の例を示したが,2年の「とかしてみよう」でも,スクリーンに写し出された氷砂糖の溶ける様子に子どもたちの目が引きつけられ,その後の学習が活発に進められたという本校教諭の実践も報告されている。本校は,意欲的に探究する子どもを求めて日々の実践にあたっているが,何よりも,教師自身の教材研究の深まりが大切であることを切実に感じている。


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