福島県教育センター所報ふくしま No.66(S59/1984.6) -002/038page

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これからの教育と学習指導

郡山女子大学短期大学部 教授  長谷川 壽 郎

              

 はじめに

 教育臨調がこの7月から発足すると言われている。このことに賛成反対の論議が行われているが,わが国の教育は改善されなければならないという考えは,共通していると見ることができよう。 教育に心を寄せる者ほ,誰でもそう考えていると言っても過言ではあるまいと思う。 これだけの気運が醸成されたのは,わが国の教育の危機的状況の深刻さによるものであるが,それだけに,教育の本来性に還帰して,十分な施策をもとめなければならないのであって,拙速は厳にいましめられなければならないと同時に,いささかでも,政治的思惑などに左右されることがあってはならないのである。

 さて,このような状況内にあって,われわれ教育現場の教師は,ますます教育の本質への内省をたしかにし,教育の根本理論をしかと捉えかえし,日常の教育実践を,それにもとづいて絶えず改善充実していくつとめを果たさなくてならない。そして,そのことを通して,最も純正であって,それ故に最も強力な教育改善の提言者・推進者たらねばならないであろう。

 この小論は,この意味における筆者のささやかな願いの表白である。
 ただ,教育実践の領域のすべてにわたることは,筆者の能力をはるかに越えるものであるから,学習指導の問題の基本的なものに限定し,各位とともに考察をすすめたいと思うのである。

1.教育実践における学習指導の立場

 教育の実践は,教育の理論にもとづき,教育が実際に行われることでありたい。それは,教育の方法を駆使して展開される。教育の方法は,ひろい意味から言えば,教育の目的・目標を達成するために採るすべてのやり方をふくむのであるから,教育内容の設定も学校経営等も包含されるわけであるが,せまい意味では,生活指導,学習指導および両者とともに行われる教育評価ということになる。これらは教育方法の機能なのであって,これらの機能は,相互に関連し合い,相補い合ってはじめてそれぞれの機能がよくその役割を果たすことができるということを,確かめておきたい。

 それぞれの果たすべき役割とは,生活指導は,児童生徒の適応生活を成就させ,すすんで,創造生活を展開させようというのであり,学習指導は,知識や技能や態度を身につけるという学習活動を支え励まし,それを成し遂げさせるはたらきをするのである。教育評価は,生活指導や学習指導のあり方を,過程においても結果においても,反省検討し,それぞれの機能が十分その役割を果たしうるよう指導のあり方を調整するはたらきなのである。

 したがって,生活指導は学習指導を支え,学習指導は,児導生徒の生活に適応状況をさらに創造状況をもたらすに必要な知識・技能・態度等のかくとくにかかわって生活指導を支えるというように,両者の関連は緊密であるべきであり,評価機能は,この両者の発動をおいてそれ自身において発動するいわれはないが,評価機能をぬきにして両機能が十分にそれぞれの役割を果たすことはできないであろう。 ところで,学習指導は,児童生徒の学習の成立をたしかならしめる役割を果たす教育方法の機能である。じつは,学習という営みがあっても,知識や技能や態度などが身につき,学力として発動でき,それが児童生徒が人間として望ましく向上することにあずかるようにならなければ,学習がホントに成立したとは言われないのである。

 なお,学力については,所報No.61の拙論をぜひ参照ねがいたい。ここでは,いわゆる情意的学力が従来おろそかにされてきたが,これからの教育における学習指導の大事なポイントでなければならないことを強調するにとどめることとする。 さて,教育のあり方が見直されるならば,必然的に教育方法の機能の発動のあり方が見直されなけれ


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