福島県教育センター所報ふくしま No.66(S59/1984.6) -009/038page
そこで,+のピーク値 Vmax をホールドさせるよう装置の設計をすることになる。今,初期条件 Vo = 0〔m/s〕で自由に磁石を落下させたとき,落下速度 v と変位 h との関係は, V = √(2gh) … 式1 一方,コイルの断面積 S〔m 2 〕,磁石による磁来密度の変化速度 dB / dt〔wb/m 2 ・s〕.このときの誘導起電力Vは, V = −S・dB / dt … 式2 Vの最大値をVmaxとしたときの式1と式2の関係は, ∴ dB / dt = k v k:比例定数 故に, ∴ Vmax = −k s √(2gh) となる。 ダイオードによって,片側だけのピーク値をホールドすれば, Vmax = 1 - k π n r 2 √(2gh)従って,装置は Vmax ∝ √h を満足させるものであるかどうかを検定して用いることになるわけである。
以上のことから,以下に開発した装置の回路図を示し,さらに検定結果をグラフに表しておく。
検定は,10回巻きコイルの中心を通るように棒形小磁石を落下させ,そのときの棒磁石を自由にした位置と,コイルの位置との距離(高さ)h及び誘導起電力のピーク値 Vmax の関係を調べたものである。
回路については,増中とバッファともIC一個であり,検定結果改善のため,D 1 D 2 は逆方向インピーダンスの大きなものを用い,好結果が得られるようにした。また,ポジティブフィードバックにより時間経過によるピーク値の保持能力を高めている。
次に,一定の高さ h から小磁石を落下させたとき,コイルの半径 r と誘導起電力のピーク値 Vmax の関係は,測定によるグラフから理論値とよく一致していることがわかる。
この検定結果は,先に設定したテーマによる実験に十分利用できるものと考えている。3.誘電率や透磁率の比較装置
実験装置は何よりも精度がよく,そのためには,回路はできるだけシンプルなはうがよいことを,ICを用いた実験を通じて体験しているところである。 この装置は,センサの自作も簡単で,各種のセンサにより目的も多様化され便利である。
基本形は交流ブリッジなので,標題のような測定も可能なコンパレータにしてある。
写真は,比較だけではなく,測定もできるようにした装置であるが,ここではコンパレータの部分iこ照準を定め簡単に述べることにした。