福島県教育センター所報ふくしま No.66(S59/1984.6) -010/038page
入力のA,B,C端子にセンサを接続し,PQ端子にAC1〜2Vの電圧を与える。その場合,電源に供給する電源と同じ配線に接続したのでは作動しないので注意が必要である。ACブリッジであるため電源のフィルターコンデンサーは不用である。センサのインピーダンスの変化は電流・又は電圧に変換され,出力端子に接続した電流計又は電圧計で読みとることができ,実験結果が短時間で得られるのが利点である。
センサは比較装置としての特徴を生かすため,同じセンサ素子を2個用いている。(1)は小量の試薬で実験できるようセミミクロ実験用試験管を使用する。試験管の外側につける電極は,コンデンサーの電極として用いるので銅板でなくともよい。リード線をきちんとつけることができれば,アルミホイルでも十分である。誘電率の差が小さい場合は,PQ端子に低周波発振器を接続し,周波数の高い交流を与えることによって目的が達成できることになる。但し,パルボルなどにより,与える交流電圧がPQ間1〜2Vをオーバーしないように注意したい。
オフセットヌルに接続してある10KΩ(オーム)VRは,出力用メーターの0調整であり,PQ端子に指続してある50KΩ(オーム)VRではバランスを調整するのである。
〔図5〕
(2)は同じ巻き数の空芯コイルを2個用い,(1)と同様の測定をする。コイルの巻き数は多い程比較が明瞭になる。
参考のために,(3)温度(4)光量についても実験ができるので,試していただきたい。
また,この出力端子にサイリスタを組み合わせると,種々の装置を自動的にコントロールできるシステムとなるので,種々の教具の開発ができるものと思う。
(1)誘電率比較用センサ (2)透磁率比較用センサ (3)温度比較センサ (2)光量比較センサ 4.おわりに
教育課程の実施上,理科で最も問題になるのは,教材の扱い方と,学習目標を達成するための有効な実験の与え方であり,実験のデータが理論的な思考活動に結びつくような配慮がなされているかどうかが問われている。生徒の頭脳は柔軟で,訓練の仕方により,演えき的な思考力を増大させることができることほよく知られている。
筆者は,できるだけ簡単な装置で目的に迫れるよう種々試みている。諸先生方の学習指導のために少しでもお役にたてればこれに勝る書こびはない。
参考文献
- 先端技術をとり入れた理科(物理領域)に関する教材教具 福島県教育センター