福島県教育センター所報ふくしま No.66(S59/1984.6) -013/038page

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の特性があるので,併用し,より効果を発揮するように配慮してほしいものである。
 OHPを単なる板書や図表の提示のかわりに使うだけでなく,OHPでなければできないような教材提示の場面に,大いに活用を図るようにしてはしい。

 次に,OHP・TPの機能と特性を生かした活用例を二例あげてみる。

〔1〕かずの数え方の練習に使うTP
 1OOまでのかずを数える学習では,黒板にたくさんの丸を書いたり,たくさんの磁石を並べたりしなければならないので,問題提示までに不必要な時間を消費してしまう。さらに,次の間題の提示の時に,丸を書いたり消したり,磁石をとったり並べたりしなければならない。このような時,次のようなTPを使うとよい。丸を100個書いてあるTPの一部を,図のようなマスク(不透明な紙)で隠すことによっていかなる数でも,瞬時につくりだすことができるのである。学習者がかずを数えたあとに,1〜100までの数を書いたTPを重ねると,かずの数え方が正しいかどうか,学習者にフィードバックさせることもできる。
 このように,1つのTPで,何回でも,何種頬の問題でも自由につくりだせ,提示できるTPこそ,「TPらしいTP」といえる。

TP1+マスク TP1+マスク+TP2
TP1+マスク TP1+マスク+TP2

〔2〕漢字の熟語の成り立ちを理解させ,漢字への興味を持たせるために,熟語成立の型をTPの合成,分解,平行移動などの方法で示したTP
 動詞と名詞(客語)からなる文を3つに分解し,TP1〜3のように3枚のシートに書き分ける。TP1とTP2には同色のカラーシートを貼る。TP1〜3を合成すると,図1になる。この4つの文を読ませ,その文からどんな熟語ができるかを考えさせる。続いてTP3をはずし,TP1を下にずらして,TP1と2のカラーシートが重なるようにすると,図2のような熟語ができる。できた熟語を続ませ,どのように熟語になったか話し合い,送りがなや「を」・「に」などの助詞がとれて,漢字の位置が逆転して結び合っていることを理解させる。同様にして,「青い空」などの修飾語を伴なったシートを作って,「青空」のように,位置がそのままで結びあっていることを理解させることもできる。

    TP1
TP 1
    TP2
TP 2
    TP3
TP 3
    <図1>
<図1>
    <図2>
<図2>

 

5.おわりに

 「OHPの見直しと再活用のすすめ」について述べてきたが,OHPだけでなく,それぞれの機器には,その機器だけがもつ特性がある。それぞれの機器の良さを熟知して,学習目標を達成するために,教授・学習過程に適切に位置づけて,活用を因っていくことが必要である。そのためにも,教科の本質及び目標,単元や題材の目標・内容についての教材研究を深めていかなければならない。


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