福島県教育センター所報ふくしま No.66(S59/1984.6) -016/038page

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生徒指導

朝や帰りの学級の時間における生徒指導の在り方

経営研究部  藤 本 忠 平

1. はじめに

 どこの学校でも,明るく楽しい学級づくりを目指し,日常における学級の指導の場として,朝・昼・帰りなどの,いわゆる「短時間の学級の時間」(学校により様々な呼び名がある。高校では一般にショートホームルームと呼んでいる。)を重視し,日課表に位置付けて指導に当たっている。
 これは,教育課程の枠外の短い時間ではあるが,年間を通して実施され,その指導が累積されていく時間でもある。このことから考えれば,学校の教育目標の具現化と深い関連のある月や週あるいは日々の生活目標を達成させるという観点から.学級における指導として極めて重要な時間であるといえる。
 そこで,生活目標の実現のために毎日行われる朝や帰りなどの「短時間の学級の時間」の指導において,生徒指導との結び付きはどうあればよいかについて述べてみたい。

2.生活目標と生徒指導

 生徒指導は,児童生徒の現在の生活に即しながら,具体的・実際的な活動として進められるところに一つの意義がある。したがって,児童生徒の日常における現実的にして具体的な生活とのかかわりの中で展開される生活目標の実践化を目指しての指導には,生徒指導の機能を十分に生かすことができるであろうし,それはまた,生徒指導の充実にもつながるものであるといえよう。
 生活目標は,学校の教育目標をより具体的に学級にまでおろし,児童生徒の日常における生活との深いかかわりにおいてそれを主体的に受けとめて達成させようとするものである。しかしながら,学校にょっては,その目標に主体的に立ち向かうべき児童生徒自身が,それにあまり関心を示さなかったり,時には,その目標を達成するための規則とか,きまりを強いられることになってしまい,生活目標の具現化や実践化を目指す具体的な指導に,生徒指導本来の機能が有効に生かされていないのではないかという反省を耳にすることもある。その要因として次のようなことが考えられる。

(1)生活目標設定の際に,規則やきまりを守らせようとする教師の強い指導はあるが,生徒のやる気や自主性を育てようとする働きかけが足りない。
(2)生活目標を,学年・学級及び児童生徒一人一人にまでおろしていく手順やその指導内容・方法が具体的でない。
(3)生活目標に対する評価が,児童生徒一人一人の反省,成就感・意欲及び集団の意識などに影響を及ばすものになっていない。

 これらは,要因のすべてではないが,生徒指導との深いかかわりにおいて解決されるものが多く,生徒指導の機能を十分に生かして行くことで,生活目標を児童生徒に「自分たちのもの」として意識させ,その実践力を培うことができると考えられる。

3.生徒指導の機能を生かす

 学級やホームルームを指導するねらいの一つは,望ましい人間関係の育成であり,生徒指導の目指すものと深くかかわっている。学級における日常の指導と生徒指導との間には,いわば互いに補うことによってそれぞれを一層充実させることができるという関係があり,特に,朝や帰りの時間における日常の指導は,それが児童生徒の生活に直接かかわる身近な問題をその内容としているだけに,生徒指導のねらいである「すべての児童生徒一人一人の人格のよりよき発達」や「学校生活が児童生徒一人一人にとっても集団にとっても有意義で充実したものになるようにすること」の実現のために重要な部分を占めているのである。つまり,生徒指導の機能を生かした日常の指導というのは,教師が児童生徒との人間的な触れ合いを通して,児童生徒一人一人の自主性や自発性を高め,自己実現ができるように,指導・援助することなのである。そのためには次のようなことに配慮しなければならない。

(1)望ましい人間関係の醸成
 教師と児童生徒の間や児童生徒同士の間に望ましい人間関係が育ち,学級全体のふん囲気が,児童生徒の一人一人を温かく包み込んで,児童生徒の一人一人に,その所属する学級集団をよりよい方向にまとめあげていこうとする意識を持たせることは,生徒指導上極めて重要である。この生活基盤ともいえる人間関係は,児童生徒の日常生活


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