福島県教育センター所報ふくしま No.67(S59/1984.8) -007/038page
- 縫い縮み率
縫製前の長さに対する,縫製後の長さの変化率によって縫いつれの大小を判定する方法である。縫いつれ率は,次の式によって算出する。
縫いつれ率=((縫製前の長さ−縫製後の長さ)÷縫製前の長さ)×100(%)4.縫いつれの実験
- 目的
- ミシンの針目の大きさを一定にし,材質や布目の方向を変えることによって,縫いつれはどのように変化するか。
- 用具
- 裁縫ミシン,ものさし,裁ちばさみ
- 材料
- 40番ブロード(ポリエステル65%,綿35%)デニム(ポリエステル65%,綿35%)カタン糸60番,80番(縫いじるし用),しろも,ミシン針11番,トレース紙
- 方法
- 各試験片 4cmx30cmをたて・よこ方向に4枚ずつ裁断する。(図5)
- 試験片にカタン糸80番で20cmの縫いじるしを十字につける。(図6)
試験片 縫いじるし 図5 図6 - 縫いじるし20cm問の長さをあらためて1/10mmまで測って記録する。
- ミシンの針目の大きさは18針/3cmとしてブロードのよこ布を用いてミシンを調整する。
- 各試験片をたて・よこ方向別に2枚ずつ外表に合わせしつけをかける。(図7−b)残りの試験片も同様にし,下にトレース紙を当ててしつけをかける。(図7−C)
- 試験片の縫いじるしを通って端までミシンをかける。
- トレース紙をはがす。
- 測定値を表に記入し,縫いつれ率を算出する。
実験方法
図7
縫いつれ率(例)
図8
※ 授業資料の共同作成のための便法として,たて長さ110cm,よこ布幅いっぱいを使った方法もある。
次の写真は図8と同一条件で縫製したものである。
ブロードの縫いつれの状態
デニムの縫いつれの状態
5.おわりに
布地に適した針目を考察し,質の高い被服製作を作り,もの作りの喜びを味わいながら,縫製の基礎技術を習得し,衣生活を快適にする能力を養いたいものである。
参考文献
- 中学校技術・家庭研究の手引(文部省)
- 文部省産業教育指導者養成講座集録 技術・家庭(全国家庭科教育協会中学部編)