福島県教育センター所報ふくしま No.67(S59/1984.8) -022/038page
<表2>地図中心のノート作りの例 ・毎時間使用する略地図を家庭学習として描いてくる。 ・授業の中で,教科書や地図帳を参照しながら地理的事象を調べ,確認していく。 略地図 ・単元のポイントをおさえる ・学習課題について,教科書や参考書をもとに調べ,発表し合う。 ・問題点をみんなで考えていく。 今までのノート作りは,地図と学習内容が密接につながっているとは言えず,したがって覚えにくく,単に暗記中心の地理に終ってしまう傾向になった。そこで<表2>のようなノート作りを考えた。 「トレーシングペーパーによる地図の作成」 ア.クリップ,多色鉛筆,トレーシングペーパーをを準備する。 イ.地図帳にトレーシングペーパーをクリップで止め,輪郭をトレースする。 ウ.教師自身のTPシートを参考にして,地図に入れる地理的事象を教科書,地図帳を参照してグループで話し合って選び出す。 エ.作成は単元ごとにし,1枚目を自然事象,2枚目を農林,水産,鉱工業の事象を書き入れることにする。(グループの協力学習を通して一人一人作成する) このねらいは,自ら調べ考え,自らの手と頭を使い「なすことによって学ぶ」作業的学習にある。 4.計画(省略) 5.概要と考察 (1)研究の経過 検証までの準備 ア.地図学習の指導 ○ 作図,読図には個人差が大きいので,困難としている生徒には,昼休みや放課後を利用して個別指導を図ったり,グループの中で協力学習を積極的におし進める。 ○ 一斉指導において,縮尺の指導を十分に行う長さ,大きさ,広さを相互の関係を考えて表現させる。 ○ 反復線習によって作図能力の定着を図っていく。 イ.作業的学習の指導 ア 地図作成の条件 ○なんのために作るのか。 ○作成のきまりが守られているか。 ○読みとりやすいように創意,工夫されているか。 ○地図を正確に見,丁寧に作成しているか。 イ 生き生きと作り出す条件 ○ 問題の動機づけや調査活動について十分に話 し合いさせ共通理解をはかる。 ○ 地図作りの条件整備を整え,適宜助言する。 ○ 小グループの学習形態で,協力学習の進み方をとる。 ウ.作業的学習の指導過程−地図中心のノート作り− ア 予習的な作業学習として ○ 略地図の描き方の例にならってノートに描いてくる。 ○ 学習課題に即した内容について教科書を3回精読し,ポイントをノートにまとめてくる。 イ 本時の流れとして ○ 地図帳と教科書をよく読み,地理的事象を描出して自作の略地図に書き込む。 ○ 授業での学習内容を照合し,ノートに加除修正して略図に着色する。 ウ 学習の整理・発展として ○ 自作の略地図や学習した内容についてグループで話し合って確認する。 ○ 本時の学習内容をまとめ,次時の学習課題を設定する。 エ.作業的学習の指導過程−トレーシングペーパーによる地図の作成− ア 作業的学習の計画 ○ 事前指導,学習会・地図の作り方,事象のおさえ方・グループ活動のあり方 イ 作業の時間は,教科書単元に位置づけられている「自由研究」を主に活用する。 ウ 作品は作成に個人差が大きいので提出期限を一週間おき,放課後なども利用する。 エ 地図作業がぬり絵的にならないように地理的事象を頑に浮かべ「なぜ,そこにあるのか」について考えさせ,「他地域とのかかわりあいはどうか」などについてイメージ化させながら作成するように指導する。 オ 着色は 裏 から塗り,表に文字や記号が鮮明に 掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育センターに帰属します。