福島県教育センター所報ふくしま No.67(S59/1984.8) -026/038page

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アイディア紹介

植物の発芽と成長

福島市立福島第三小学校 教諭 熊田 晴彦

1.はじめに

 5年の「たねの発芽」から「植物の成長」へと続く一連の単元の中での実験・観察は,何度試みてもおもしろい事象との出合いがあり,子どもたちの興味が尽きない。
 ここでは,本校で特に工夫していることや,実践の中で子どもたちと共に考え工夫してきたアイディアのいくつかを紹介してみたい。

2.実践の中でのエ夫

(1)たねの銀行
 本校では,観察園の植物から採取した たね を種類ごとに分けてびんなどに入れて保管し,次の年にまた使えるようにしている。たねの入ったびんは,廊下の陳列ケースに並べておき,いつでも手に取って観察することができるようになっている。これを「たねの銀行三小本店」と呼んで,各学年とも利用している。
 一方,低学年の教室には,フィルムケースを利用してたねを整理しておく「支店」がある。
 これは,アサガオやヒマワリのたねだけでなく,春や秋の花壇での「たねあつめ」の学習によって集められたたねを保管しておき,必要に応じて観察したり,次の年にまいたりするのである。
たねの銀行三小本店 フィルムケースを利用した三小支店
たねの銀行三小本店 フィルムケースを利用した三小支店

(2)発芽の実験
(2)発芽の実験(クヌギの芽)  発芽の条件を確かめるために,ダイズやモヤシのたねを用いて実験を行った後,他のたねも同じ様に発芽するだろうという課題と取り組んだ。 たね への関心が高まってくると,案外,身近なところから手に入ることに気が付く。給食に出される果物のたね,校庭の樹木や道端の野草のたねなど,たくさん集まってくる。 写真に示すクヌギの芽は,信夫山に落葉ひろいに行った時に持ち帰ったどんぐりから発芽したものである。種類によって,発芽のしかたや発芽までの期間に違いがあることがわかるので,いろいろなたねで試みてみるとよい。綿毛の付いたタンポポのたねをまいてみたら,本当に発芽した時の喜びは,たいへんなものであった。さらに,野外へ出かけ,野草の発芽の様子を詳しく観察する活動もおもしろい。

(3)根毛の観察
(3)根毛の観察  黒い台紙の上で発芽させたハツカダイコンの根毛を観察した後,他の植物にも根毛はあるのかという新しい疑問が生じた。子どもたちといっしょに根毛さがしをしたところ,一人一鉢栽培の小菊の鉢の底の穴から出ている根に,たくさんの根毛がついているのが見つかった。鉢底と地面との間のわずかな空間に,たくさんの根毛が生えていたのである。
 小菊の他にも,ホウセンカやツクバネアサガオなど,いろいろな植物の鉢の底でも同じ様子を観察することができた。
 一方,バーミキュライトに育てている苗を静かに引きぬき,水の入ったフラスコの中に入れ,根毛を拡大して観察してみるのもおもしろい。フラスコの中の水が凸レンズのはたらきをするからである。


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