福島県教育センター所報ふくしま No.67(S59/1984.8) -027/038page
(5)吸水の観察
水をやって,5分後,約20度元へ戻った。 ホウセンカに水をやるのを2〜3日忘れていると,上端の葉が地面に着くはどにしおれてしまう。このホウセンカにたっぷりと水をやり,吸水していく様子を観察する。すると,約20分後には,ピンと元通りになる。これには,子どもたちもたいへん驚き,目じるしをつけて,もう一度よく見てみようということになり実験したところ,1分に約4度〜5度の割で戻るようである。
(6)給水の工夫
自動給水装置 その1 水やりを忘れていたばかりに,植物が枯れてしまったという苦い経験は,よくあることである。また,休日の水やりをどうするかという苦労もある。
そこで,二つの方法による自動給水装置が考えられた。そのひとつは,鉢の上に,水の入ったビニル袋を下げ袋の底に小さな穴をあけ,一滴ずつ落下させる方法である。この時の穴の大きさは,針では細く,画鋲では太過ぎるといった程度である。
もうひとつは,アルコールランプ式に下から吸い上げる方法である。この場合は,吸い上げた水が鉢全休にまわるようにするために,途中をパイプやアルミホイルなどで覆ってやるとよい。そうしないと,鉢の底の方だけが湿ってしまい,それより上へ水が上がりにくい。水面からパイプの上まで10cm以内にセットする。
自動給水装置 その2
(7)発芽の条件
発芽の条件をつきつめていくと,水・空気・気温ということになる。この三つの条件を同時に最適に満たすためには,土中にまくことになる。しかし,土の中では観察ができない。そこで,ヒーター入り水そうの上面ろ過装置に着目した。フィルター上では,約25℃の水が,空気と混じり合いながら流れている。ダイズのたねを用いて調べたところ,一昼夜過ぎるともう幼根が伸び始めている。
フィルター上でふくれたダイズのたね (8)上面ろ過装置の応用
フィルターの部分を利用して,能率的にたねを発芽させることができるならば・・と発想を広げて,さし木・さし芽の床として使えないかということになった。実際にやってみると,極めて能率よく発根することがわかった。おまけに,魚の糞やえさの残りがたまるので,一週間もすると急速に成長し始めるのである。
フィルターの上のさし芽から成長したツユクサのなかま 3.おわりに
以上,述べてきたアイディアは,本校での実践の中から生まれてきたものであるが,この単元の展開は,探究の順序を特に定めず,自分が最も疑問に思ったことから入っていくという方式で行った。つまり,課題別に,個人あるいは人数の均一でないグループがそれぞれに探究を進め,必要に応じて情報を交換し合うという方式である。本校では,これを三小マルチプランと呼んでいる。
なお,ここに述べたアイディアは,本校で編集を進めている「三小の理科100のアイディア」という小冊子の中から採ったものである。