福島県教育センター所報ふくしま No.68(S59/1984.10) -002/038page

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小・中教材

基礎技能を高めるための「ミニ作文」による訓練学習

教科教育部  星  英 雄

1.はじめに

 作文指導に関する美感調査などをみると,別表のように,児童生徒は「作文は嫌い」,「書くことがない」,「書き方がわからない」などをあげており,一方教師は,「評価や処理が大変」,「指導が取材・構想・記述など多岐にわたって容易でない」などの問題点をあげていることが多い。その原因としてはいろいろあるが,作文指導というと,ともすればただ単に「見たままを書きなさい」,「思ったままを自由に書きなさい」と指示するだけで,作文の書き方の方法や技術を身につけさせずに,完成作文を年間に数回書かせていることに多く起因しているように思われる。これらの原因を除去し,一人一人の児童生徒に作文の基礎能力を身につけさせ,作文嫌いをできるだけなくし,作文学習への意欲を育てていくためには,児童生徒に書く機会を多く与え,その都度作文の技術や方法を身につけさせ,書く抵抗感をなくし,書くことへの日常化・習慣化をはかることが大切と思われる。

 そこで,指導のねらいを明確化・焦点化し,その指導のねらいにそって反復練習させるために,200字程度のできるだけ短かい作文(ミニ作文)を書かせるのが効果的ではないかと思う。すなわち,「ミニ作文」は,分量が少ないため書く側の児童生徒は,抵抗が少なく,学習のめあても明確なので取り組みやすく,一方指導者側は,ねらいに即した指導と,すみやかに評価処理ができ,児童生徒の興味・関心のうすれないうちに指導の手を加えられるという利点がある。ここでは,こうした「ミニ作文」による訓練学習の実践例を中心に述べてみたい。

  実態調査(作文の好き嫌いと,嫌いな主な理由)
  昭和56年度教育研究報告書より 調査人数43名
  項目
性別
作文の好き嫌い 作文が嫌いな理由
作文が好き 好きでも嫌いでもない 作文が嫌い 書くことが無い 書き方がわからない その他の理由
6 2 16 5 9 2
11 2 6 2 3 1

(%)
17
(39%)
4
(9%)
22
(52%)
7
(32%)
12
(54%)
3
(14%)

2.「ミニ作文」による訓練学習の指導法

(1)目的

  1.  書く機会を多く与え,書くことへの抵抗感をなくし,書くことの日常化・習慣化をはかる。
  2.  その時間の学習のねらいを焦点化し,児童生徒に学習課題意識を徹底させる。
  3.  書く機会を多く与え,反復練習を多くすることによって,作文の方法・技能を習得させる。
  4.  一単位時間内に,取材・構想・記述・推敲・評価を行い,それらを有機的に結びつけて指導の一貫性をはかる。
  5.  机間巡視などをし,それぞれの指導過程の中で個に応じた指導を行い,個別化をはかる。
  6.  評価の観点を明確にし,かつ焦点化して評価を行い,達成が十分でない児童生徒には再指導をする。
  7.  評価処理をすみやかにし,児童生徒の興味関心のうすれないうちに指導の手を加える。

(2)分量,形式,内容

  1.  分量 − 200字以内とし,多くとも400字程度とする。
  2.  形式 − 課題作文を主とし,自由作文も目的に応じて適宜取り入れる。(課題作文を主に取り入れるわけは,題材決定や取材に時間がはぶけるし,共通意識をもって話し合いができ,相互批正するのにも都合がよいからである。)
  3.  内容 − 生活文,記録文,説明文など,年間指導計画に位置づける。

(3)指導上の留意点

  1.  取材
    ア いわゆる行事作文だけでなく,身のまわりの事象にも取材させるようにする。
    イ 学校内のできごとや新聞・テレビなどの


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