福島県教育センター所報ふくしま No.68(S59/1984.10) -005/038page

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中・高校教材

光合成量測定に関する実験について

科学技術教育部  高 野 忠 夫

1.はじめに

 光合成量の条件による変化についての実験は,教科書でも,さまざまなかたちで示されている。これを,生徒実験によって,身近な材料を用いて簡単にできるものはないかと考え,水草を用いて,茎から放出される気泡数をかぞえる方法で,良い結果が得られたので,その方法及び実験結果について述べる。

2.測定装置の製作

 測定装置は100Wの電球を長さ90cm程の板の一方の端に取り付けた照明装置と,水草を入れるための角形の水槽を準備する。

・照明装置の製作
 巾10cm長さ90cmの板の一方の端にソケットを取り付け,それに100Wの電球をさしこみ点燈する。このとき電球のフィラメントの向きを板の方向に対して直角になるように調整する。板の上に照度計を用いて,5000Lx,4000Lx,3000Lx,2000Lx,1500Lx,1000Lx,500L 400Lx,300Lxの各照度の部分に線を引く,この作業は暗室で行う。(写真1)
写真1 照明装置
写真1 照明装置

・角形水槽の製作
 アクリル板で高さ18cm縦5cm,横3cmのわくを作り,これに8cm×5cmの底板をつける。また,水草を固定するために用いるものとして,巾3.5cm高さ20cmのアクリル板の下に4cm×2.5cmのアクリル板を接着したものを作る。(写真2)アクリル板の接着には塩化メチレンを用いると良い。
写真2 角形水槽と固定板
写真2 角形水槽と固定板

3.測定方法

 沸とうさせるなどして塩素をぬいた水道水をビーカーに入れ,これにストローを用いて呼気を十分に溶かしこむ。
 この水を角形の水槽に入れ,これに水草(クロモ,オオカナダモ,マツモなど)の先端部5cm程を固定板に逆に輪ゴムで固定し,静かに水槽に入れる。(写真3)
写真3 材カナダモを固定した状態
写真3 材カナダモを固定した状態

 この水草の位置が照明装置の2000Lxの線上になるように水槽を置き電燈をつけ,気泡のでかたを観察する。(写真1)気泡が茎について,浮きあがってこないときは,茎の切口の部分をピンセットでつぶしてやると良い。1分間に20〜30回程気泡が出るようにすると,かぞえやすい。もしうまくゆかないときは再び切りつめると良い。
 測定はすべて暗室において,室温で行う。測定している間に水温が電燈の熱で1℃程上昇するが,その温度の影響は弱い光の部分ではあまり大きく作用しないように思われる。したがって5000Lxから測定をするようにし順次水草を光源から離していくと良い結果が得られる。
 水草が照明装置の5000Lxの線上になるように水槽を置き電燈をつける。ここで固定板を1〜2回上下させる,これは水草のまわりの水を動かして二酸化炭素を吸収しやすくするためである。
 気泡のでかたが安定するまで約1分間程おいてから,1分間に放出される気泡数をかぞえて記録する。
 次に4000Lxの位置に移動して,固定板を1〜2回上下させ,1分間程おいてから,1分間に放出される気泡数をかぞえる。同様に3000Lx,2000Lx1500Lx,1000Lx,500Lx,400Lx,300Lxについてもそれぞれ,1分間に放出される気泡数をかぞえる。
 このようにして,9段階の明るさについて測定するには,かくはん調整の時間及び測定の時間をそれぞれ,1分間とすると18分間で測定できることになる。オオカナダモやエビモなどは,茎が太いために大きな気泡となって,放出数が少なくなることがあるが,このときは測定時間を長くする。


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