福島県教育センター所報ふくしま No.68(S59/1984.10) -008/038page

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特別活動

学級づくりと特別活動

研営研究部  片寄 秀雄

1.はじめに

 「こんな学級に育てたい。」,学級担任であればだれしもが理想像を描き,心に期すものがあるだろう。子供たちもまた「明るく楽しい学級にしたい。」と願っているし,学校に来るのが楽しみでなければ本来の教育活動も円滑になされないであろう。
 また,「授業の基礎は学級づくりにある。」など学級づくりの重要さについてよく耳にするが,学級づくりとはいったい何であろうか。特別活動との関連を考えながら,学級づくりについて述べてみたい。

2.学級づくりとその手だて

 年度当初は,どの学級も学級としてのまとまりに欠ける。しかし,子供たちが担任の温かい指導援助のもとに,学級という集団の中で学び,遊ぶことによって仲間意識をもつようになれば,やがて学級全体が一人一人を大切にし,思いやりのある,まとまりのある集団になっていくであろう。学級づくりとは,こうした人間的信頼感に支えられた人間味あふれた学級集団に育てていこうとする過程をさすといえよう。そのための手だてを児童生徒と教師の両面から述べてみる。

(1)児童生徒の意識と参加
 子供たちは○年○組の一員であるという意識は強いが,自分たちの学級を具体的にどうよりよくしていくかという意識は低いように思われる。学級づくりを意識化させるためには,目標の設定が必要である。学級目標を全員で決め,どんな内容を,いつ,どこで,どのように実行すれば目標の達成が可能になるか,あるいは一つの目標に到達したら次の目標へどう進むかなど,それぞれの段階での日常指導の積み上げが行われることによって,学級目標の深化・充実を図ることができる。
 また,一人一人が個に応じた目標を立て,努力し,反省し,より高い目標を目指すという個人目標の達成を図る実践も大切にしたい。
 更に児童生徒が意欲をもって学級づくりに参加するようにすることもだいじであろう。そのためには,すべての子供が学習を含む生活に意欲をもって取り組み,学級集団のだれしもが疑問に思うことやわからないことを気がねなく話せることができる雰囲気づくりが必要である。そして,学級の一人一人の子供が教師や友達から大切にされているという意識をもてるようになれば,望ましい人間関係が醸成されていくと考えられる。

(2)教師の助言・援助と評価
 子供は認められたい,自己を高めたいと願っている。活動意欲を高めるためには,児童生徒のだれしもが備えている自発性を引き出し,活動させる環境と教師による動機付けの刺激が必要となってくる。そのためには,学級を場とする集団の中で児童生徒一人一人がその一員としての満足感と連帯感,充実感がもてるようにするため児童生徒の感情や基本的欲求を大切にした学級づくりへの展望を教師自身がもたなければならない。
 また,児童生徒の発想による主体的な実践活動を活発にするためには,活動によってもたらされる成果はもちろんだが,そこに至るまでの児童生徒の取り組みの過程を大切にする助言・援助活動も重要視したい。
 どのような活動もやりっばなしでは次の活動のバネにはならない。児童生徒自身の自己評価あるいは相互による評価,更には,教師による賞賛と激励が児童生徒に自信をもたせることになり,活動意欲につながってくる。また,時には,担任としての自己評価なども必要であろう。

3.学級づくりと特別活動

 学級づくりの根本は「一人一人が生き生きと活動できる人間性豊かな学級集団にしていくこと。」といえよう。また,特別活動では,児童生徒の望ましい自己実現を図るために,集団活動を通して行うということが特質の一つとなっている。このかかわりから考えてみると,特別活動の実践そのものが学級づくりであるともいえよう。そこで,特別活動の各内容及び教育課程外の活動である朝の会・帰りの会との関連を考えてみたい。


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