福島県教育センター所報ふくしま No.68(S59/1984.10) -015/038page
研究報告
班別に学習課題を設定させた説明的文章の指導
県立安積女子高等学校数論 鈴木 京子
1.研究の趣旨
(1)研究の動機とねらい
本校(前任校県立須賀川女子高等学校を指す以下同じ)2年生の説明的文章読解力を国立教育研究所作成の基礎学力テストで診断してみたところ,全国平均(10点満点で6.56)に比べて,5.92と低かった。(<表1>参照)
<表1>説明的文章の得点分布
また,意識調査によって,95%の生徒が説明的文章学習の必要性を感じながらも,興味を覚える者ははとんどいないということが判明した。
以上のような実態から少しでも脱却するにはどのような指導の改善をしたらよいかと考えて本主題を設定した。(2)問題点
(3)原因
- 本校2年生の平均点は,全国平均より.0.64低い。また標準偏差は1.98で,全国の2.16に比べてばらつきが小さい。つまり,上下の較差は小さいが,中・下位層が厚い。
- 問題別に分析してみると,文脈中の語句と全体の論理積造の読み取りは,約70%の者ができていない。
- 説明的文章の自主学習は,ほとんどなされていない。
そこで,生徒の主体的学習を促して文章を正確に読み取る力をつけさせるためには,学習の手順を明示したうえで,生徒自らが問題を発見し,解決する場を授業の中に位置づける配慮が必要ではないかと考え,次のような仮説を設定した。
- 生徒側から
古文や漢文と比べて,説明的文章の学習方法や手順をよく知らない生徒が多い。また,家庭学習は英語・数学・古典で手一杯になり現代文学習に当てる時間があまりない。- 教師側から
学級の実態を十分把握しなかったために,上位層に照準を合わせた目標や課題を設定しがちであった。また,進度の都合上,教師対生徒,生徒対生徒の話し合いの場や時間が少なくなる傾向があった。2.仮説
(1)仮説
説明的文章の指導において,学習の手順を明示した自己診断票を与え,
毎時の課題を班別に作成させて共同思考させれば,
文章を正確に読み取る力を伸ばすことができるであろう。
(2)仮説のための理論