福島県教育センター所報ふくしま No.68(S59/1984.10) -018/038page
(2)検証と考察
- 検証の観点
ア この仮説は一教材の指導全般にかかわり一時間の検証授業だけでは不十分なので,教材全体の指導を通した変容を見ることにした。(検証授業(1)(2)(3))
イ 到達目標別問題を作成して,事前・事後把持テストを実施し,その変容を見る。
ウ 事前・事後に意識調査を実施し,その変容を見る。- 授業の考察
ア 学習手順と本時の目標を明示したことにより,自主的に学習する者が増加して,相互啓発を図ることができた。
イ 班別学習において,司会・朗読・語句説明・要点まとめの各係を分担させたために全員が活発に発言するようになった。その結果,予定の2倍の時間を費した。
ウ 各班とも学習課題集作成の割り当てがあったため,担当部分については深い分析に基づいた読みが続けられた。生徒の筆跡のままに印刷された課題集は,本質的な問題を逃さない質の高いものとなり,互いの感心を誘った。
エ 課題集の難問題および不意の質問になると,発表者以外の生徒の発言が少なくなり発表者と教師間の問答になってしまう場面が,しばしば出現した。これは割り当てられた部分以外の学習は,発表者に依存する心理に起因している。割り当て方式は,この点において,両刃の剣であると思う。
オ 小段落の発表と質疑応答が済む度に,自己診断票を使って到達状況を確認させた。未到達者には,まず挙手によってその時閣内にこ質問させ,更に毎時間後に提出させた自己診断票の質問欄に解答を記入して指導した。1時間の学習後の質問者は平均4人,診断票での添削者は毎時平均2人であった。- 事前・事後・把持テストの結果
ア 事前・事後テストは,同一の自作テストを使用した。把持テストは,事前テストの小間の順序や内容の一部をさしかえて,事後テストから2週間後に実施した。その変容は,<表4>のとおりである。なお,上位群・中位群・下位群に分けた平均正答率の変容は,<表5>のようであった。
<表4> 事前・事後・把持テストの変容
<表5> 平均正答率