福島県教育センター所報ふくしま No.68(S59/1984.10) -020/038page
研究プロジェクト状況報告
学習指導と評価に関する研究
教科教育部 石田 威
は じ め に
学習指導と評価に関する研究は,当教育センターの研究事業の一環である学習指導に関する研究領域の具体的研究テーマである。この研究は,児童生徒一人一人の学力を伸ばすための「学習指導と評価」の在り方を追究しようとするもので,昭和58年度から昭和60年度まで3か年の継続研究として取り組んでいる。
第1年次の研究は,学習指導と評価に関する県内の実態をとらえるために,調査研究を行った。研究の内容は,調査項目設定のための学習指導と評価に関する理論づけと,県内小・中・高等学校教員を対象としたアンケート方式による実態調査である。この研究成果は,研究紀要第56号として既に刊行したところである。
第2年次及び第3年次の研究は,実態調査の結果並びに学習指導と評価における今日的課題としての重要性をふまえて「関心・態度の評価」を取り上げ,実践研究を行う。
ここでは,本年度(第2年次)の研究について基本的構想を紹介することにする。1.学習指導と評価に関する今日的課題
−関心・態度の評価−(1)調査の結果−自由記述:指導と評価に関する悩みや意見−
指導と評価についての悩みや意見は,記述の内容から,1.評価の基準について,2.評価の活用について,3.学力,能力の低い児童生徒の指導と評価について,4.情意面(関心・態度など)の評価について,の四つの観点から分類することができた。これらの中でも「情意面(関心・態度など)の評価について」は,記述内容に「おろそかになっている」,「わからない」,「むずかしい」,「困難だ」,「手段・方法がわからない」,「主観的な評価になることが不安」,「自信がもてない」,などの悩みを訴えるものが多く,更に,数値化や数量化の可能な評価方法の開発を望む意見もみられ「情意面(関心・態度など)の評価」に関しての「困惑」,「不安」,「模索」などの実態がうかがえる。(2)学習指導要領と指導要録−改訂の趣旨−
現行の学習指導要領は,自ら考え正しく判断できる力をもつ児童生徒の育成ということを重視して,1.人間性豊かな児童生徒を育てること,2.ゆとりあるしかも充実した学校生活が送れるようにすること,3.国民として必要とされる基礎的・基本的な内容を重視するとともに児童生徒の個性や能力に応じた教育が行われようにすること,をねらいとした教育課程審議会の答申に基づいて従前の学習指導要領を改正したものである。
また,指導要録は,学習指導要領の改訂とほぼ軌を一にして改訂されてきており今回も学習指導要領の改訂の趣旨に照らして見直され改訂された。今回の改訂では,時代の要請によって大きく変更されたところもあり,各教科の学習の記録の欄には「観点別学習状況」が新設されている。そして,新設の意図について次のように述べている。「特に,教科に対する<関心・態度>を共通に取り入れているが,従来このようないわゆる情意的な観点は客観的な評価が困難であるという理由で設定されなかったものである。しかし,学習指導要領においては,児童生徒の学習意欲の向上や自ら考え実践しようとする態度の育成等を重視しており,その趣旨を生かすには,たとえ客観性の高い