福島県教育センター所報ふくしま No.68(S59/1984.10) -021/038page

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評価が得られなくともこの関心・態度を教育上重要な要素として評価の観点の一つに取り上げることにしたのである。」−新指導要録の解説と実務:図書文化−

(3)自己教育力の育成
 中央教育審議会の教育内容等小委員会は,文部大臣から受けた「時代の変化に対応する初等中等教育の教育内容などの基本的な在り方について」の諮問に対し,昭和58年11月15日に審議経過報告を行っている。その中で,時代の変化と学校教育の在り方について,「今後特に重視されなければならない視点」として,1.「自己教育力」の育成2.基礎・基本の徹底,3.個性と創造性の伸長,4.文化と伝統の尊重,をあげている。
 「自己教育力」の育成について,「自己教育力とは,主体的に学ぶ意志,態度,能力などをいう。」と概念を規定し,更に,自己教育力とは,1.学習への意欲−児童生徒の能力・適性あるいほ興味・関心への配慮,2.学習の仕方の習得−基礎的・基本的な知識・技能の着実な学習,学習方法の重視,3.今後の変化の激しい社会における生き方の問題であり,特に中等教育の段階では,自己を生涯にわたって教育し続ける意志を形成することが求められるとしている。
 「関心・態度の評価」は,教師の実態,学習指導要領と指導要録にかかわる指導と評価の原点,更に学習者の生涯にかかわる生き方の問題というように教育の根元にかかわる課題であり,長期的見通しをもち早急に取り組まなければならない今日的課題との認識にたって研究に取り組むことにした。

2.研究の基本的構想

(1)指導と評価の一体性の観点
 指導と評価の一体性の観点は,評価の指導機能を重視するところにある。このことは,学校教育における評価の目的を指導目的と学習目的へ接近させることになり,指導→評価→指導→評価……といういわゆるフィードバック機能に結びつくことになる。
 指導と評価の一体性を具体化するために,次のような観点をふまえておくことが必要である。

  1. 指導計画と評価計画
     指導は,児童生徒を目標へ到達させる一連の過程である。目標や一連の過程は,教師が意図的計画的に作成するものであるところから,一連の過程の中で評価をしようとすると指導がおろそかになってしまうということなどがないように,指導計画に照らして評価計画を作成する。
  2. 評価のフィードバック機能
     指導と評価は,それぞれ異なった活動としてとらえるのではなく,紙の表裏のごとく密着して一体となって働くものである。教育活動は,指導と評価の両者があって初めて完全なものになるという基本的特質があり,この特質を生かすものがフィードバック機能である。
  3. 自己評価
     自己評価は,学習者自身が自己の学習について評価を行い,評価情報(資料)に基づく自己の学習へのフィードバック機能である。児童生徒が,自己評価により自分の状態を知り,どこをどのように修正・補充・深化すべきかを正しく把握し学習を促進させていくことの力を身につけさせ「自分が学習の主体者である」という意識をもたせることは,児童生徒一人一人の学力を伸ばすうえで非常に大切なことである。

(2)実践研究のための基本的な手続き
 「関心・態度の評価」を取り上げ「指導と評価」の在り方を追究するために,指導と評価の一体化を可能にする基本的な手続きを確立しておかなければならない。そのために,我々は,評価の手続きを明確にし,更に,指導と評価の一体化のための授業モデルを設定することにした。
 次に示す図−I ,及び図−II は,それらのモデルである。モデルは,更に検討を重ねられようが,本年度は,このようなモデルにより,小学校社会


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