福島県教育センター所報ふくしま No.68(S59/1984.10) -023/038page
研究実践校紹介
研究主題「学業指導における生徒指導」
伊達郡飯野町立飯野中学校
1.はじめに
当町は,昭和57,58年の2か年間福島県教育委員会から生徒指導研究推進の地区指定をうけ研究実践を行ってきた。
研究推進母体は,町教育長を会長とする「飯野町生徒指導研究推進委員会」を中核として,町内小・中学校が一体となってあたり,公民館やPTAと町ぐるみの生徒指導を推進してきた。
研究のねらいは,小・中連携により日常生活において必要な基本的行動様式を身につけさせることにより自己指導力を高めることであるとした。
この基本的行動様式は,日常生活習慣のきまりをはじめとし,対人関係を維持する礼儀作法や,市民としての意識に至る道徳性の最も基礎部分を構成するものである。
自己指導力は,基本的行動様式の中核となる事項を選び,自己理解から自己決定に至る場と機会を設定し,効果的な指導援助を行うことにより高められるものとした。
以上の基本的行動様式によって自己指導の能力を高める指導援助は,小・申連携のもとに行われた。こうした研究実践と共に,学校の実態をふまえ諸教育活動を通して自己指導を高めるため各小・中学校の研究分担を行った。
飯野小(道徳),明治小(課程外活動),大久保小(教科指導),青木小(特別活動),飯野中(学業指導)の各領域から,発達段階に即した自己指導の能力を高める援助指導のあり方を研究した。以下,学業指導における生徒指導について研究の概要を述べる。2.主題投定の理由
本校は,4つの小学校から入学した364名の生徒から成っている。素直で明るいが依頼心が強く向上心が乏しいため,学校生活に「は気」が足りない。これが,生活・行動・学習の各活動に現われ「自ら学ぶ」という自主的な学習態度が確立されていない。
「学業指導」は,生徒指導において最も重視される内容であり,中学生の発達段階において学業不振が非行にはしる大きな原因をなすものと考え次の理由に基づき本主題を設定した。
(1)学業指導が一部の学業不振の生徒を対象とした矯正的な指導範囲にとどまることなく,すべての生徒を対象に行われたとき「自ら学ぶ」という積極的・意欲的な学習態度と豊かな創造性が育成されると考えた。
(2)学業指導が,進路指導・社会性道徳性指導及び個人的適応指導との関連を密にして行われたとき,学校生活への不適応や社会に対する不適応である非行もある程度防げると考えた。2.研究の内容
「自ら学ぶ」自主的学習態度を確立させるための学業指導の内容を次の3点におさえた。(1)学業相談の充実
学業不振生徒・学習に興味を示さない生徒を対象に相談を行い,適切な方針のもとに援助・指導を行う。
(2)学級指導による学習条件の整備
学業相談によってあげられた問題点をとりあげ,学年・学級の実態に応じて,授業の中で理解を深め,学習条件の整備のしかたを学ばせ。る
(3)生活・学習時間の指導
一日の生活時間帯の中で,学年に応じ,一人一人の目標にあった学習時間を求めさせ,その実現を図るため生活時間を自ら工夫させる。3.研究の方法
(1)学業相談
1. 諸調査・検査から生徒像の把握を行う。
2. 学業相談を行う。}学級担任 3. 問題点の抽出を行う。
4. 指導方針の樹立}学年部会 5. 学業相談によって,自己指導力を高める。 }学級担任