福島県教育センター所報ふくしま No.68(S59/1984.10) -026/038page
導をセットで行う。
以上,授業実践を通してえられた充実のための留意事項である。
- 資料として,学業相談の結果,共通の悩みや問題点を用いる。
- 生徒がつくる資料を奨励し,自ら学習する場面を多く設定する。
- 授業の前に,生徒ひとりひとりに課題意識をもたせて授業にのぞませる。
- 授業後,日常生活の中で実践させる指導を行い,課題をどう改善しているか事後の相談でふれる。
(3)生活・学習時間の指導
自ら学業生活の改善と向上を志向する生徒を育成するために,主として家庭生活の生活時間帯の工夫をさせることにした。
「家庭学習計画表」を作成し,継続して記録させ,個人の反省材料とした。特に,テレビに左右されるような家庭生活が反省できるように「テレビの時間」を記録に入れ,計画的に規律正しい家庭生活・学習を指導することがねらいである。
- 実践内容
「」は,1か月1枚,曜日ごとに計画をたてさせる。生徒にとって記録が簡単で,しかも集計が容易なものということを考えて次のような表を作成した。集計は月末まで記入した後,学級・学年・学校の傾向をまとめて指導資料とした。
- 実践の結果
1 年 2 年 3 年 勉 強 テレビ 勉 強 テレビ 勉 強 テレビ 6 月 1.5時間 1.5特間 l.7 l.8 1.5 1.7 7 月 1.9 1.5 2.0 l.6 1.8 1.7 - 考 察
集計・変容瀬査から,各学年とも若干ではあるが勉強時間が増え,計画的に規則正しい生活をしようという意欲のみられる生徒がふえている。
生徒の反省に「自分から勉強するようになった。」「時間をむだにしなくなった。」という意見が1年生で43%になった。学習習慣づくりにかなりの効果があったといえる。
集計結果は,学級指導の時間に活用できるように資料提供を行い,学年の傾向と個人との比較ができるようにした。
指導にあたって,単なる学習時間の延びだけでなく,個人の生活に注目させ,その変容から賞賛や励ましの指導援助を与えるようにする。7.まとめと今後の課題
本研究は,学業相談を軸に学級指導による学習条件の整備と生活・学習時間の指導とを合わせて行い,学業指導の実践研究の拡充と深化をはかってきた。しかし,学業相談を実施してみると,生徒はそれぞれ異質な問題をかかえており画一的な指導対策はたてられない。学業生活を阻害する要因を1つ1つ取り除き,要をえた指導方針と適切な相談が必要となる。そのため,担任による的確な生徒理解のもとに,学年部会で指導方針をたて,学業相談を根気強く実施する必要がある。家庭学習計画表・計画に対する実施状況を反省させることにより,学習への自覚をうながす学業相談に活用する有効な資料となった。
生徒の変容状況は,学業不振生徒が減少したという客観的な資料はないが,自らの生活を改善しようとする姿がみられ意識の高まりが感じられる。
今後,学業相淡を定期的に実施すると共に,自己意識をもたせ,自己洞察を促すような相談技術の研修を深め充実を図りたい。