福島県教育センター所報ふくしま No.68(S59/1984.10) -032/038page
アイデア紹介
音楽科における指導の効率化をはかる工夫
西白河郡東村立東中学校教諭 加藤 宏之
1.はじめに
日常のさまざまな音楽の指導において,生徒の興味を喚起させる一つの手だてとしてリコーダーを毎時間ドリル的にとり上げ,ある程度の成果を得ることができた。小アンサンプルの場合,リコーダーのみの演奏よりもクラシックギター等を加えたほうが音楽的にも幅が増し,生徒が特に意欲を示すようである。
これまでに,「音楽の生活化」「生徒の主体的学習」等が提唱されているが,未だ実現には程遠いと思われる。そこで,生徒の興味や関心を助長させるためにいくつかの工夫をした。2.アイデア紹介
(1)ギターの練習量充足の方策
- A校には19台,B校には14台,C校には9台備えている現状で,各々の中学校では毎年2,3年生の特定の楽曲を用いて,3か月位の期間で集中的にギターの指導を行っている。それぞれの音楽科指導担当者の間で,指導期間を調整し,交互に数多くの楽器を利用し合っている。本校では,今年度1学期A校から16台借用し,選択音楽科と音楽クラブで取り扱い,たいへん効果的であった。意欲を持ち始めた生徒はさらに続けたがるのであるが,残念ながら2学期は本校のギター全部をA校へ貸与する計画になっている。
- 練習させるためのギターの数量不足のため練習量も不足することの解消法として簡易な用具を工夫した。仮称は「コードポジション練習用指板」で,左手によるコードポジションの練習のみを解決するにすぎない。直径5〜6cmの丸太を半割りし,フレットにあたる部分に2mm径の鋼鉄線(ピアノ線)か竹ひごを接着し,1mm径の針金を6本張っただけのもの。竹ひごは,強度は落ちるが接着しやすい利点がある。ギターと同寸大のものの量産は,ややむずかしい。
(2)ギター演奏の初歩的指導の例
生徒の能力のよしあしにかかわらず,誰でもが容易にとりくめるようにするため,生徒が比較的喜んで歌った既習(2年生は半知)教材を用いて短時間で修得ができ,その上抵抗感を和らげることに重点を置いて,次のような展開を試みた。○教育出版社「中学音楽2」より歌唱教材「踊る少女」を題材とした第1〜3弦による伴奏づけ。
(「踊る少女」前半)上の旋律で,次のコードネームを口ずさみ,最終的には暗誦唱できるようにさせる。
- ア コードポジションは,まず1(丸数字)の押さえによってよく効かない左手の形の固定化から始まる。(これそのものは,演奏には使わない。2(丸数字)3(丸数字)4(丸数字)に至る単なるステップにすぎない。)