福島県教育センター所報ふくしま No.68(S59/1984.10) -033/038page
- イ 左手の形を変えずにそのまま離す。(2(丸数字))
- ウ 人さし指と中指だけを押さえる。(3(丸数字))
- エ 中指と薬指だけを押さえる。
- 生徒がコードネームを口ずさむのに合わせて「2(丸数字)〜3(丸数字)〜2(丸数字)〜4(丸数字)……」と指示する。
- オ それぞれのコードポジションの連携をスムーズにするため,次のような部分練習を加える。
- (A) 1(丸数字)と2(丸数字)のくり返し。(親指はネックの裏側で他の指と同方向を向いているよう個別指導する。)
- (B) 2(丸数字)と3(丸数字)のくり返し。(2(丸数字)3(丸数字)4(丸数字)は教師がEm Am B7と言いながらのほうがよいが工夫が必要。)
- (C) 3(丸数字)と4(丸数字)のくり返し。(中指を押さえたまま人さし指と薬指を交替させるとたやすい。)
- (D) 2(丸数字)と4(丸数字)のくり返し。
- カ 伴奏法にはいろいろあるが,ここではあまり飛躍せず や のような平易なものからはいると意欲的にとりくみやすい。
- キ エレクトーンをワルツにセットし,右手で旋律左手でコードを拾いながらエの伴奏をつけさせる。
右手は弦を選ばなければならない(第4〜6弦にふれてはいけない)ので,右手も見ながら練習させる。ゆっくりから次第に適正速度に近づけ,最終的には旋律楽器とビートのみを与えて完成させる。(2〉移調早見表(仮称)の工夫
吹奏楽を指導していると,編曲やパートの移行の必要に迫られる。各楽器の移調楽譜の調性を調べるため,ある楽曲のスコアを開いて比較するのだが,そのたびに迷い,時間をかけて考えてもたいへんとらえにくい。(私個人の問題にすぎないのかもしれないが……)
そこで,調性をすばやくとらえるための「ものさし」を思いついた。そして,直線型のものさしには長さの問題があったので円を12等分することで解決した。CをBbクラリネットで奏する場合Dを与えること,同様にFホルンにはGを与えること,またEbアルトサックスにはAを与えることなどが目もりを合わせるためのヒントとなった。外尺と内尺の目もりは正反対の方向にすればよいのである。また,内尺はすべての調を必要とはしないので,不要な部分はぬりつぶした。(図1参照指導者用)
(図1)
さらに,チューニング及び発音練習の際,日ごろはBb音を基準としているので,Bb以外の調性をもつ楽器の美音をとらえやすくするため「実音早見表(仮称)」を作り生徒たちに与えている。これは,トロンポーンのアンサンブル譜を用いての全体合奏や一音上げての即時演奏等に活用している。(図2参照・生徒用)
(図2)
※外尺を大きく,内尺をやや小さくして中心をワリピンでとめ,回転できるようにする。
※五度圏の異名同音的音階は,調号の数の少ないものとし,同数のものは併記とした。(図1)
※図2の外尺を音名にすれば,長音階構成の説明にも使うことができる。3.おわりに
紹介したアイデアは,普段誰しもが考えていることがらかもしれないが,生徒に如何に抵抗感を与えず,かつ喜びを感じさせながらとりくませるかというねらいがあった。
ギターの指板を試作したが,同寸大の量産には,美術科や技術科等の協力かあればよい。
ギターの初歩的指導は,週1時間という少ない時数の中でも無事に消化でき,生徒たちに演奏の喜びを味わわせることができた。固定した指の形によるコードポジションの連携は固定しなかった場合よりも容易になった。実音早見表を使用するようになってから生徒の自主的な練習への取り組みがみられるようになった。また,上級生から下級生に譲るなどしての活用がなされ,喜ばれている。
これらのことは,教材の不足を補うことと,簡便な教具の工夫をすることによって,生徒の音楽に対する興味関心を深めさせることができ,授業を含めた指導の効率化をはかりながら「生活化」及び「主体的学習」の方向に少しでも近づいてくれるものと考える。