福島県教育センター所報ふくしま No.70(S60/1985.2) -005/042page
小・中学校教材 人工れきを使って流水の働きを知る
(セッコウブロック使用)
科学技術教育部 佐藤 輝夫
1.はじめに
河川の流れによって,河川れきは,れきとれき,れきと河床の衝突によって破砕作用や磨耗がくり返され,形を変えていく。れきの種類によっては風化の程度や磨耗も異なる。一般に下流にある砂れきほど上流の物より小さくて丸い物が多い。
下流にたい積している砂れきの形成には,流水の速さや水量などが密接に関係している。これらのことを児童生徒に気付かせるには川原での野外観察が最適であるが,現実には時間的余裕,学校周辺に適当な観察場所がないこと,現場までの交通事情などいろいろ制約・困難がある。
そこで,野外学習に近い効果をあげることをねらいとして,タッパの中に水と人工的に作成したセッフウブロックを数個入れ,流水の働きを想定して振る回数をきめ,人為的に振ることによって,ブロックの角(かど)がとれていくようすが観察でき,よい結果が得られたので紹介する。
2.準備するもの
天秤(1),1gのタッパ(2),ビーカー(3〕,篩(4),正方形の木足ゴム(5),ゴムのカップ(6),定規,石膏,白土(凝灰岩質シルト岩),活性炭(粉末),篩にかけた砂(海砂,河川砂ともに可)
3.セッコウプロックの桓薫と作り方
(i) 種類
A 石膏:白土=(1:1)
B 石膏:海砂=(1:1)
C 石膏:活性炭=(1:1)
D 石膏:白土:活性炭=(1:1:1)セッコウだけのブロックでは固すぎて磨耗の度合いが遅いので,短時間での効果が期待できない。今回はセッコウに身近にある物を混合して4種(A,B,C,D)のブロックを考えてみた。
福島市内に分布している赤川層中にある凝灰岩質シルト岩(クレンザーの原料)=白土,浜通りの海岸線にある海砂,あるいは阿武隈川をはじめ大小河川の下流にたい積している砂,および市販の活性炭を使用してみた。
(ii)作り方
Aのプロック例をあげて説明する。以下B・C・D各ブロックも同じである。
1 石膏と白土を1:1の割合に混合する。
2 ゴムカップに水を1/3〜1/4入れ,1を入れかきまぜる。
3 正方形の木足ゴムにAを流しこむ。
4 木足ゴムからブロックを取り出し十分に乾燥させる。※型を取る時……市販の木足ゴム使用。
・石膏が固まる時,熱を持ち膨張するので,ゴムを使用した。
・ゴムの場合,ブロックを取り出す時たやすく取り出せる。※白土の作り方
・風化した凝灰岩質シルト岩を採集する。
・十分に乾燥させる。
・篩にかける(メッシュ20〜25)。※海砂・河川砂の場合も十分に乾燥させ,箭にかける。
4.実験方法
(a)セッコウブロックを5個,タッパの中に入れこれに水を500tほど入れ,しっかりふたをする。1分間放置しておく。
(b)タッパを上下方向に何回も激しく振り,しばらくしてから,中のブロックの形や大きさをしらべる。