福島県教育センター所報ふくしま No.70(S60/1985.2) -006/042page
(c)タッパの水をビーカーに取り出して,水の濁りかたや沈殿のようすをみる。
(d)さらに激しく振り混ぜてから,そのようすを前の回数の少ないものと比べる。
(e)ブロックを5個タッパの中に入れ,これに水を500tほど入れ,更に砂れき(ビーカーで100t=200g)を入れて,しっかりふたをする。(b)・(c)・(d)と同じことをくり返し行い,水だけの場合と砂れきを入れた場合とを比較する。
5.実験結果・考察
実際の河川にみたてたタッパの中に,人工的に作成したセッコウブロックの4種類を入れることによって,ブロックとブロック,ブロックと水あるいはタッパとの衝突による磨耗の状態を,100回および200回振る場合について比較した。更に流水中に含まれている土砂にみたてて,タッパの中に砂れきを混ぜて入れた時のブロックの磨耗の状態を前者と比較してみた。写真からわかるようにそれぞれの場合と磨耗のようすには差があることが明らかである。
一般に振る回数が多い方が角やでっぱりが取れ,球に近づいていく。
Aのブロックは組成上粘りけが強く磨耗しにくい。
Bのブロックは振る回数に比例して磨耗の状態が良くあらわれている。
Cのブロックは粘りけは強いが振る回数が増すと急速に磨耗が進む。
Dのブロックは4種の中で一番磨耗の進み方が速い。以上から考えて,白土(凝灰岩質シルト岩)を含んだブロックAは磨耗が小さい。これについては一般に泥は水を含むと非常に粘性が増加することによると思う。海砂(河川砂)を混入したブロックBは磨耗の進み方が速いが,砂を混ぜると粘性が弱まるので比較的速くなるものと考えられる。粉末の活性炭は吸着性は強いがあまりにも軽いので,セッコウなどとの結合カは弱く,セッコウが水を吸って固まろうとする力を弱めてしまうのではないかと思われる。
この実験結果より,タッパの中にブロックと水だけを入れて振った場合よりは,更に砂れきを混ぜて振った方が磨耗が少ないことがわかった。これは砂がブロックとブロックの間でクッションの役目をしているのではないかと思われる。そのかわりブロックの表面をザラザラに傷つけ凹凸を作っている。れきがしだいに磨耗し球形に近づいていく程度を表わすのに球形度(KRUMBEINによる)がある。
これはれきの長径(a),中径(b),短径(c)を測定し(図1参照)中径÷長径の値(b/a)と短径÷中径の値(c/b)を(図2)を用いて,縦軸・横軸上にとり,その交点が球形度の値である。