福島県教育センター所報ふくしま No.70(S60/1985.2) -009/042page
幹のいずれか・幹の模様の有無・幹輪郭線・切株,ひこばえ,節穴などの有無・幹の長さと樹冠の高さの比
〔樹冠部〕
・1線枝か2線枝か・枝の方向・枝の優勢方位・開放幹の有無・枝の先端処理・樹冠の大きさと型・樹冠の輪郭線・枝,樹冠への陰影・実,葉,花の有無・空間倒置の有無・樹冠の左右の幅の比
〔地平線〕
・地平線の有無と位置・傾き〔根〕・根の有無・根の型と長さ・張りぐあい
2.動態分析
同じ形態のバウムであっても,被検者の鉛筆の動きによって,運筆,筆圧,カのリズムなどは異なってくる。これらは,次表に示すような性格指標的側面をもち,形態水準の高(+),低(-)に基づく二義性を有する。
形態水準 + - 不規則性 規則性
感情の優位 意志の優位
感受性動性 意志の強さ
意志の弱さ 感情の冷たさ
均 衡 不均衡
低い興奮性 高い興奮性
平静化 感受性
無感応 易刺激性
形態水準 + - 急 速 遅 緩
活動欲・感受性動性 静穏・平静化
不穏・感情興奮性 不活発・冷淡
弱 圧 強 圧
敏捷・抵抗感 意志力・抵抗感
意志薄弱・不安定性 鈍重・短気
潤 (側) 渇 (直)
生のよろこび・直観性 自己統制力・精神性
放縦・粗野 禁欲的・概念製
広 狭
熱中・想像力 克己・理論性
奔放・無批判 臆病・無味乾燥
連 綿 分離
論理性・組織的思考 思想豊富・直観能力
思想困惑・移り気 飛躍性・抽象力欠乏
豊 貧
形式感情・外観重視 合目的意識・即事性
誇張・非即時性 外観軽視・形式感情乏
飾りたて おざなり
喝采願望・自画自賛 非厳密性・狡猾
かかれたバウムが,紙面(I〜W)のどの領域に定位されるかで,被検者の生活の場におけるあり方や中心からの矢印の方向への傾きにみられるエネルギーの存在が解釈される。したがって,どの位置に,どの程度の大きさでかかれているかをとらえる必要がある。
3.事例
(1)主訴不登校(登校拒否)
(2)対象中学校1年生,男子B
(3)問題の概要小学校6年の7月,級友3人との言い争いからいじめられ,2学期から登校をしぷり断続的に欠席する。いじめられる夢をみる,他人の言動や時間を気にする,夕食を食べないようになる。また,登校刺激が強められると,腹痛,虫痛を訴え,自分の部屋に座り込んでしまう。
中学に入っては,親しい友人もなく5月中旬から以前と同様の症状を示し,継続して欠席するようになる。起床しない,過食,屋外へは全く出ない,来訪する級友や先生にも会わなくなる。病院での診断では,異常はないという。学級担任の紹介で6月に来所する。
(4)資料
1.性格検査(YG):E'型神経質,対人不安の傾向がかなり強く陰気で集団適応性が低い。
2.健康調査表(CMI):神経症判別皿領域
(特に,希望がない,易怒性,強迫観念についてチェックされる)
3.家族構成と親の養育態度:父,母,姉,父方祖父母の6人家族。家族システムは,ひずみ型である。祖父,父はおとなしい性格の人で,祖母が発言カをもち,家事,養育の中心である。母は,祖父母に気を遣い自己表現を控えるタイプである。Bが1歳のときから,両親は農閑期にはパートで働いている。
祖父,父は,酒乱気味で祖母との口論が絶えない。Bは,幼少時,一人遊びが多くき帳面で大人びた言動をし,