福島県教育センター所報ふくしま No.70(S60/1985.2) -011/042page
生徒指導 アンケート調査にみられる生徒指導の現状と考察
経営研究部 藤本 忠平
1.はじめに
生徒指導を進めるにあたり,生徒の問題行動の傾向が,今後どのように推移していくかを予測することは,これからの生徒指導のあり方や生徒指導体制の充実を図る上で,きわめて重要なことである。
当教育センターでは,昭和58年12月に研修者対象の「生徒指導に関する調査」を実施しているが,ここでは,その調査結果をもとに、教師が生徒指導の現状をどう意識し,今後の生徒指導上の問題がどのように推移していくかとの質問結果について考察を加えてみた。
2.生徒指導の現状に対する意識
生徒指導の現状に対する教師の意識について,図1の調査結果が得られている。
中学校の場合,ウ,工,オの項目について,およそ50%が,「かなりよい」,あるいは「よい」という回答を示している。これは,校長,教頭,そして教職員間の意思の疎通が図られ,学校全体が同一歩調をとり,学年や学校という組織の中で生徒指導の問題を真剣に話し合うふん囲気が醸成されている現状があると受けとめることができる。
しかし,一方で,たとえば,ク,ケ,コのような項目については,現状を「のぞましい」と意識している教師は,およそ30%以下で,このへんに生徒指導の当面している問題があると思われる。それは,端的に言って,「生徒についての、近隣の学校,関係諸機関及びその地域などとの連携不足」ということになる。
次に,高等学校の場合,イとウの項目について,およそ30%ではあるが「かなりよい」,あるいは「よい」という回答を示している。また,全項目を通して,「かなりよくない」という回答がないのは,この2項だけである。つまり,高等学校でもまず基本となる校長,教頭と教職員の意思の疎通については,かなり図られており,その上,、生徒指導に関する役割分担も明確になっていると受けとめることができる。
更に,関係諸機関や地域との連携については,中学校と同様の現状がとらえられ,特に,地域との連