福島県教育センター所報ふくしま No.70(S60/1985.2) -014/042page
研究報告
学校の教育目標の具現化をめざす学年経営
石川町立沢田中学校長 甲斐山 義弘
1.研究の趣旨
学校の教育自標は,学校の教育活動全体を通して達成すべき具体的,実践的な目標であり,この学校の教育目標が,生徒の全人格の形成に,直接かかわるようその具現をはからなけれぱならない。そのためには目標の具現化の道すじを明確にするとともに,全職員が一致レて実践することである。しかし,年度末における学校運営についての反省の中で,教育目標の具現化について,多くの問題点が指摘された。つまり,具現化の道すじが不明確であり,実践への方策があまいということである。このような反省から,教育目標具現化の妨げの要因として,次のことが考えられる。第一に,教育目標そのものの設定からみて継続的な実践が妥当なものであったかどうかということと。第二には,目標の分析,実践への取組みなどが,学年や学級によって相違があったのではないかということである。つまり学校経営全体の中での目標の具現化の手だてのまずさ,取組みのあまさからくるものと思われる。学校の教育目標具現の道すじは,学年,学級目標への具現化であり,さらに生徒の行動目標としてどうとらえどう実践させるかである。
そこで,教職員の二致した共通理解のもとに,教青目標具動化のための到達目標を設定し,教師と生徒が,共に共通の意識に立って実践ができるような教育活動の展開をはかればなお一層の具現化が期待できると考え,本主題を設定した。(前任校郡山市立大槻中学校)
2.見とおし
学校の教育目標を,学年経営の中で具体化し,ひとりひとりの生徒に.日常行動の目標を明瞭につかませて実践し,さらに自己評価の上に,反省と指導を加えれぱ,実践意欲も高まり,教育目標の具現化がはかられるであろう。
3.研究の方法と対象
(1)研究の方法
1.学校の教育目標の具現化に関する文献研究
2.学校の教育目標に関する教師と生徒の意識調査
3.学校の教育目標の具現化と到達目標の設定
4.学校の教育目標の達成のための組織と運営の改善
5.生徒の自己評価による到達度の診断
6.研究成果の吟味と今後の課題(2)研究の対象
1.本校職員 25名(管理職,主事を除く)
2.本校生徒 230名(2年)
4.研究の結果と考察
(1)学校の教育目標具現化に関する意識調査(対職員)
1.本校の教育目標は,全教職員の共通理解が得られていると思いますか。−考察−学校の教育課程編成の際や年度末における反省などにおいて,教青目標についての討議はじゅうぶんに行われている。「だいたい・・」を含めれぱ,「得られている」と思うものの割合は80%になり,共通理解は,およそ得られているようである。
2.日常の指導の中で,学校の教育目標の具現化について配慮してますか。−考察− 学校の教育目標の具現化をはかるには,教師が,常に意識をもって指導にあたることが大切である。「意識的に配慮している」のが24%とだいぶ低いが,「場合に応じて」というのが過半