福島県教育センター所報ふくしま No.70(S60/1985.2) -018/042page
△考察△ 諸行事の計画について、質問や意見を述べるのをいとう反面,諸行事や学級の係活動,部活動に積極的に参加する生徒が増えた理由として次のことが考えられる。
ア 研究の検証として取上げた三つの行事は,学年協議会や学級運営委員会で主として計画が進められているので,大部分の生徒にとっては,発言の機会が十分に与えられなかったきらいがあること。
イ ただし,話し合いによって決まったことには協力しようとする態度が育ってきたこと。
ウ また,3年生の引退により,部活動などにおける2年生の活躍の舞台が広がったこと。
工 2年生という発達段階から.羞恥心が芽ばえ,発言を控える傾向がみられること。△考察△「人の心の美しさ・・」「集団の中での自由と責任・・」「音楽や絵画への親しみ・・」などは,校内文化祭や全校絵を書く会などの行事を通して,好ましい方向にあるといえる。特に集団の中の自由と責任について,これをわきまえることができる生徒が増えたことは,本校にとってまことによろこばしいことである。
「環境づくり・・」については,生徒たちが,評価事項の解釈に誤解を生じたようである。いずれにしても,「はい」と答えた生徒が少ないということは,やはり前述のように,実践のともなった指導に徹することであろう。3年生については,今学期に新しい試みとして,PTA事業との連携をはかった「親子奉仕作業」を実施し,校地内の環境整美にあたったが,父兄からはもとより,教師,生徒からも好評を得た。
5. 今後の課題
(1)教育目標の見通し
この研究を進めるにつれて,教育目標をどのように設定するのがいかに大切であるかを身に浸みて痛感した。年度末における反省を機会に,もう一度地域や生徒の実態把握に努め,課題の洗い出しを行うとともに,全職員の手により,具体目標と,目的達成のための方策や手だてについて検討する必要がある。
(2)学年経営と指導計画の作成
学年経営における指導計画を作成する必要がある。学年,学級目標の具現化のために、学年協議会を通してねらうところの指導の内容を明らかにし,そして,それが,学級会活動や学年集会へつながるような一貫性のある指導計画を作成したい。
(3)校内の各組織の再検討
教育目標の具現化のために,校内の各組織が,学年間の連携や学校内の共通理解のもとに,有効に機能しているかどうか検討を加えてみたい。
(4)生徒のリーダー養成
学年集会での,生徒たちによる協議もさることながら,その内容が,そのまま学級会活動におろされ,一方,学級においては,何らの話し合い活動も持たれないままに受け入れられる場合がある。お互いに,建設的な意見を述べ合うためにも,生徒のリーダー養成に努める必要がある。
6 参考文献
教育福島 vol.73 福島県教育委員会 学年・学級の経営の手引き 福島県教育委員会 小学校指導書 教育課程一般編 文部省 現代学校教育全集 学年・学級経営 ぎょうせい 教職研修必携 第一法規 昭和57年度 学校経営に関する研究 福島県教育センター