福島県教育センター所報ふくしま No.70(S60/1985.2) -019/042page
研究実践校紹介
地域の実態に根ざし,小・中連携により児童生徒の自己実現をめざす生徒指導
田島町立田島中学校 校長 猪股 宏平
1.はじめに
田島中学校とその学区内の小学校3校は,昭和57年度・58年度の2年間,福島県教育委員会より「田島地区生徒指導研究校」の指定を受けた。
その研究実践は,地区全体としての研究主題のもとに,地区全体としての取り組み,各校ごとの取り組みとに分け行われた。ここでは地区全体と田島中学校の研究実践を中心にして述べてみたい。
2.研究計画の概要
(1)地区としての計画
1.研究主題
「地域の実態に根ざし,小・中連携により児童生徒の自己実現をめざす生徒指導」
2.研究主題設定の理由
近年の経済高度成長や技術革新とともに,急速な社会の変革がすすみ,それが地域・家庭にまで及び,人問疎外と言われる状況の中で,人間性豊かな児童生徒の育成をめざす新教育課程が実施された。
このような地域・家庭や学校をとりまく諸条件が大きく変化しているなかで,児童生徒の一人一人が主体性を持ち,能力を最大限に発揮して,充実した生活が送れるようにしなければならない。しかし,当地域における現実の姿は必ずしも期待できる状況とは言いない。従って,児童生徒の自己実現を図るうえで,家庭・学校・地域それぞれにおいて果たすべき役割,克服する課題が多くなってきている。
このことは,単に一校,一家庭だけの問題ではなく,地域ぐるみの連帯と協力の中で進められなければならない。特にその中核として,地域の児童生徒が志向する自己実現を援助し,発展向上させるために小学校と中学校が共通の理解と認識にたち,連携を強化して生徒指導にあたることが重要である。さらにひとりの児童生徒の喜びや悲しみは,小・中学校全教師の喜びや悲しみである,という教育の原点にたち,小学校と中学校が一体となって地域の児童生徒をどう育てるかという課題のもとに,地域ぐるみの生徒指導を推進させなければならない。
3.研究実践事項
ア児童生徒理解のための資料収集と活用
イ自主的に活動できる個および集団の育成,リーダーの育成,係活動の推進,話し合い活動の充実
ウ基本的行動様式の指導強化「生活の約束」の設定
エ小・中学校合同研究会の充実授業の相互参観,諸会合の充実,情報・資料の交換,諸検査・調査結果の活用
オ四校PTA連絡会の設置と活動推進(ア)健全育成,非行防止および補導
・小・中PTA連携による交通指導
・親子勤労体験活動・学区内環境整備
・巡回補導
・小・中PTA合同地区懇談会の実施
・小・中合同親子レクリェーションの実施
・「家庭の日」の活動奨励
・「家庭教育学級」への参加啓もうウ関係機関との連携
(ア)官民合同懇談会の実施
(イ)商店への協力依頼(2)各校ごとの計画
1.田島中学校
ア研究主題
「自治力を育てることによって,学校生活の充実をめざす生指指導」−学級における活動・生徒会活動を中心にして−
イ研究主題設定の理由
(ア)生徒の実態は,本校職員対象のアンケート調査によると友人間の相互理解には長所がみられるが,基本的な生活習慣,自主と責任,集団生活の秩序の維持に欠けていることが浮かびあがった。
(イ)生徒を対象とした,校内における「日常生活に関する調査」では,クラブ活動