福島県教育センター所報ふくしま No.70(S60/1985.2) -034/042page
アイディア紹介 理科I(化学,生物分野)指導のための演示実験用教具の作成とその活用
県立只見高等学校教諭 滝沢弘明
1.はじめに
学習指導要領の改訂により,理科Iが実施されて3年目を迎えたが,本校においては基礎的とはいえ,物理,化学,生物,地学の4分野にわたる広い内容を系統的に理解させることが困難な状況が生じている。その解決をはかるために,教師が(1)生徒の興味,関心を引き起こし,授業内容の理解を深めるための教材教具の開発,(2)教師実験に利用する演示用教材教具の開発などに努力すれば,一部問題の解決を図ることができるのではないかと思う。演示用教具としては,1.大型で現象がわかりやすいもの,2.五感を十分に働かせるもの,3.意外性を含んだもの,4.新奇性,珍しさを持ったものなどが望ましいので,それらを十分考慮し,次のような教具を作成したので,その活用例を紹介してみたい。
2.演示実験用TPの作成と活用(化学分野)
(1)準備するもの
・電極用炭素棒2本(使用済み単一乾電池からとりはずしたもの)・配線コード(ワニ口クリップをつけたもの)・乾電池(9V)・モーター(模型用小型モーター)・ペトリ皿・透明アクリル板(厚さ約2o,タテ,ヨコ26p)・OHP用透明プレート(厚さ約0.7o,モーター固定台用,回転板用)・強力接着剤
(2)モーター固定台の作成
材料として,厚さ約0.7oのOHP用透明プレートを使用し,強力接着剤で接着し作成する。図Iに完成した状態と部品図を示す。
(3)演示実験用TPの作成
図Uに示されているように,基板として透明アクリル板を使用し,配線コードを接着する。(配線コードの折れ曲がり部分は,カッターナイフで軽く切れ込みを入れてやると容易に折れ曲がる。)ワニ口クリップを接続しておき,乾電池,電極用炭素棒のとり付け,とりはずしが容易にできるようにしておく。
(4)使用上の留意点
・モーターと配線コードとの接続部は,とりつけとりはずしが容易にできるよう配線コードのはしに輪などをつくっておく。
・モーター回転軸に差し込む回転板は,その中心に回転軸よりも少し小さめの穴をあけておく。
・モーターの回転が容易に判別できるように,回転板全面にマンガのキャラクターの顔などを描いておく。(生徒に描かせた方が効果的である。)(5)活用の実際
1.関連単元
・物質の構成単位(イオン)
イオンについては,中学校理科第1分野において学習してはいるが,抽象的な慨念のため理解が未消化の状態である。
2.活用の手順(OHPを使用)
ア.モーターを固定台にセットし,回転軸に回転板をとりつけ,配線コードとモーター