福島県教育センター所報ふくしま No.71(S60/1985.6) -006/038page
発展的な事項はできるだけ後回しにし,基礎的・基本的事項を中心に学習が展開されるよう,適切にコントロールをすることである。
表1 小単元指導の展開
時間 学習活動・内容 形態 1 学習の課題を明らかにし、その解決の見通しをたてる。 一斉
基本的事項の学習をする。
○江戸幕府の成立と大名の統制
○キリスト教の禁止と鎖国
○身分制度の確立と農民や町人の支配一斉または小集団 2 3 4 5 形式的学習を実施し、個別の新しい課題を設定する。 補充的学習をする。 深化・発展学習をする。 個別または小集団 6 7 小単位のまとめをする。 一斉
次に,形成的テストが行われ,その結果に基づいて,たとえば「〜についてはよく分かったが,〜については不十分なので復習してみよう。」とか,「今まで学習したことはだいたい理解できたので,江戸時代の農民の生活のようすをもう少し詳しく調べてみよう。」などの新しい個別の課題が設定され,再び学習活動が行われる。
この学習は,一人一人がそれぞれの課題を持って取り組むものであるから,個別に行われるのが一般的であるが,同じ学習課題を持った者が小集団の形で学習を進めることもできる。教師は,個々の学習活動に適切な指導を加えることはもちろん,特に未達成の目標を持つ生徒の指導に多くの力をそそがなければならない。
最後に,まとめの段階では,各自の学習成果を持ち寄り,話し合いを行わせることによって,クラス全体がより高い水準において,始めの課題を解決できるようにする。また,必要に応じて教師の補足的な説明を加えることも,大切である。
5 形成的テスト問題の作成と結果の解釈
こうした方法で小単元の指導を展開する場合,形成的テストが的確に準備され,活用されることが指導の成否を握る鍵となる。言うまでもなく,形成的テストの結果が小単元の後半の学習のありようを決定するからである。以下,形成的テスト問題の作成と結果の解釈が正しく行われるために必要な事項について説明を加えておきたい。
(1)目標の分析と基礎的・基本的目標の選定
形成的テストは,その小単元の基礎的・基本的目標について行われるものであるから,まず必要なのは.小単元の目標分析である。
表2は,前述の小単元について目標分析をしたものの一部である。これは,横軸に指導要録の観点別学習状況に示された各観点を置き,縦軸に学習内容を置いて,両者の交わりに具体的な目標を設定したものである。
次にこれらの目標の中から,形成的テストを行うべき基礎的・基本的目標を選ぶことが必要である。原則から言えば,教料や分野の目標達成に不可欠なものを選ぶのであるが,歴史的分野においては,次のページに示す[1]〜[5]の観点から選ぶのが適当であると思われる。もちろん,これらに関する知識・理解の目標だけではなく,その小単元において必ず育てなければならない能力目標をも加えることが大切である。
表2 小単元「江戸幕府の成立と鎖国」の目標分析