福島県教育センター所報ふくしま No.71(S60/1985.6) -007/038page
1 時代の特色をよく表している代表的なもの
2 他の時代と比較してみて,特色のあるもの
3 時代の推維を考えるうえで,きわめて重要なもの
4 歴史上,きわめて大きな意義を持っているもの
5 日本の国民として,必ず知っておくべきものこうして選び出されたものが,表2の中に◎印を付したA〜Cの目標であるが,このうちA,Bはそれぞれ上記の1,2に対応するものであり,Cは本小単元の基本的な能力目標として選定されたのである。
なお,「関心・態度」にかかわる目標は,ペーバーテストによって評価することが困難であるので,形成的テストには含めない。
(2)形成的テスト同席の作成
上述の基礎的・基本的目標の一つ一つについて,形成的テストを作成するのが,次の手順である。このテストは,集団の中における個人の位置を評価するものではなく,生徒一人一人の目標達成の有無を評価するいわゆる目標準拠テストである。従って,問題作成にあたっては,次の事柄に留意する必要がある。
● 問題の数は,全体で100点とするような配慮はいらないが,目標達成の有無を正確に,しかも効率的に判断するために,1目標あたりの小間数を3〜5個とする。
● 難易のバランスを考えて出題するというよりも,各問の難しさが目標そのものの難しさを忠実に反映できるようにする。
次の問題例は,表2に示した基礎的・基本的目標A〜Cに対応して作成したものである。
A 次の文を読み,あとの問に答えなさい。
幕府は 大名が守るべき規則 を定め,これにそむけば国がえや ア とりつぶしなどの罰を与えた。さらに,3代将軍家光のときに(イ)の制度を加え,大名は,ふつう1年おきに江戸と領国に住み,妻子は江戸に住むようにさせた。1 アの規則の名前を書きなさい。 2 アの規則に書かれていることは,どれですか。 該当するものに○をつけなさい。 (1)許しを得ないで他国に手紙を出してはならない。 (2)城を修理するときは必ず届け出よ。 (3)洒や茶を買って飲んではならない。 (4)百姓は,武具などを持つことをかたく禁止する。 3 イにあてはまることばを書きなさい。B 次の図は,江戸幕府のしくみを表したものです。図の中の アーエに適当な役職の名まえを書きない。(図略)C 下の地図を見て,下の(1)〜(4)のうち正しいと分かる ものには ○印,誤りと分かるものには×印,この地図から だけでは正し いかどうか判断できないものに△印をつけな さい。
地図「大名の配置」(略) ◎10万石以上の大名を,外様,親藩・譜代 別に,10万石〜30万石,30万石〜50万石, 50万石以上に分けて示したもの(1)九州など江戸から速い地方には外様大名が多い。 (2)50万石以上の大名では,外様大名より親藩 ・譜代大名が多い。 (3)関東から近畿にかけて,親藩・譜代大名が多い。 (4)外様大名の領地の合計面積は,親藩・譜代 大名の領地の合計面積より多い。(3)目様達成の有無の判定
形成的テストは,前述のとおり1目標につき3〜5小問とするものであるから,全問正答で達成,他は未達成とするのが適当である。
6 おわりに
形成的テストを取り入れた指導を展開することにより,大多数の生徒に基礎的・基本的目標を達成させることばかりか,一人一人の個性,能力に即した学習をとおして,主体的な社会認識を育てることも可能になる。もちろん,以上のことを確実に実現するためには,解決を必要とする問題も少なくはない。特に,補充的学習及び深化・発展学習の効果的な指導法やまとめの段階における学習のさせ方などは,今後の実践的な研究に待つところが大きいのである。
<参考文献>B.S.ブルーム他「教育評価法ハンドブック」
第一法規
橋本重治「到達度評価の研究」 図書文化
梶田叡一「現代教育評価論」 金子書房