福島県教育センター所報ふくしま No.71(S60/1985.6) -014/038page
教育相談 (調査)
児童生徒が求める“相談的な教師像”
教育相談部 坂本 善一
1 はじめに-研究の趣旨
昭和59年度に当教育センターへ教育相談に訪れた児童生徒は258人にものぼる。これらの児童生徒が,自分の悩みや苦しみを親や先生に打ち明け,相談していたなら,あれほど心を痛め,深刻な問題を背負わずに済んだのではないかと思われる。
「打ち明けない,相談しない」ということは,内気とか内向的とかいう児童生徒の性格も一因かと思われるが,教師側にも「児童生徒が相談できない」要因が潜んでいはしないであろうか。
児童生徒が,自分の心を十分に開き,何ごとも相談できる先生とはどのような先生なのか。児童生徒が真に求めている“相談的な教師像”を,意識調査を通して探索する。
2 研究のねらい
(1)「児童生徒の悩み」と,「その悩みをだれに相談するか」の実態を把握する。
(2)児童生徒が求めている“相談的な教師像”を明らかにする。
3 研究の方法
(1)調査研究 質問紙法(アンケート)
(2)調査対象児童生徒数
性別 学年 小学6年 中学3年 高校3年 計
男子 81人 128人 108人 317人 女子 83 116 124 323 計
164 244 232 640 (3) 調査内容
1 児童生徒の悩みについて
2 児童生徒の悩みの相談相手について
3 相談しやすい先生-児童生徒が求めている“相談的な教師像”について4 調査結果と考察
(1)調査1 児童生徒の悩みは−
「あなたはいま どんなことで悩んでいますか。」(7項目中3項目以内選択)
〔考察〕
「勉強のことでの悩み」について,児童生徒の回答内容をみると,「学習のし方がわからない」「学習成績が上がらない」ということである。特に中学生,高校生は上級学校への入学試験や就職試験についての悩みを強く訴えている。生徒にとって,入学試験や就職問題は,進路を左右する人生の関門であることから,それへの不安,迷いが大きいためと考えられる。
学習のつまずきや進路の迷いが,問題行動への誘因となることもあることから,「学習のし方」や「適切な進路」の指導について,なお一層の配慮と工夫が望まれる。
(2)調査2 児童生徒の悩みの相談相手は-「あなたは,自分の悩みをだれに相談しますか。」(10項目中3項目以内選択-上位5位までを掲載)