福島県教育センター所報ふくしま No.72(S60/1985.8) -007/038page

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 2の(1)(2)で作図したロータハウジングとロータの輪郭を描いた用紙を,カーボン紙をはさんで板材の上に置き,それぞれの輪郭を坂に作図する。この際,ハウジングとロータは別々の板に木取りした方がより正確なものが作れる。なおハウジングとロータは,厚さ5mmの板を二枚重ねた厚さ10mmのものとして使う。ロータは外形を切りとったのち,上下二枚の板それぞれに主軸用の円板が入る80φの円と内歯歯車(ピッチ円直径60mm 歯数6)とをけがく。更にハウジングの切りぬかれる内側部分を活用して,主軸の直径80mmの円板及び固定歯車(ピッチ円直径40mm 歯数4)をけがく。
(2)部品の加工
 糸のこ盤を使ってロータハウジング,ロータ,主軸,固定歯車を切りぬき,ロータの内側には一枚は内歯歯車を,もう一枚には主軸用の円をそれぞれ切りぬく。切断に当たってはけがき線の外側を必要とするときは内側を,けがき線の内側を必要とするときは外側を切るようにする。やすりがけによる調節を行ってかみ合いが滑らかになるようにする。
 固定歯車の中心及び主軸の偏心量e(e = r−R)の位置にボルト穴をあけ,更に主軸にハンドル取りつけ用の穴をあける。(3)組み立て
 サイドハウジングに相当する板に固定歯車を固定し,その中心を通る軸に偏心量eをもった主軸があうようにロータの内歯歯車をかみ合わせる。ロータハウジングをとりつけ,ロータが滑らかに回転するよう調節する。点火プラグ,吸気口,排気口などを描き完成である。

4.おわりに

 ロータと主軸の回転比は作図の過程からも十分理解されると思われるが,ロータの1回転でクランク軸(主軸)が3回転する遊星歯車機構である。模型の動きからこのことが確められる。 ロータリーエンジンのトルクは図6のように,ロータが受けるガス圧力は,ガス圧の合力Fg として偏心部に加わる。
図6 ロー夕リ機関のトルクと死点
        図6 ロー夕リ機関のトルクと死点

 ロータの回転円に対する接線力をFtとすると,発生するトルクTは T = Ft・e kgf・m となる。
 機械模型工作は一般に機械1でとり上げているが,機械2に関連しての模型工作としての一つの試みである。
図7 作品(a)内歯歯車と固定歯車
        図7 作品(a)内歯歯車と固定歯車

図7 作品(b)主軸 (完成品)
       (b)主軸 (完成品)


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