福島県教育センター所報ふくしま No.72(S60/1985.8) -009/038page

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 この結果から判断すると,教師は特別活動の各内容や部活動の中では,学級会活動よりも部活動の方が教育効果が高いとみていることが分かる。しかし,調査結果に表れているように4割近くの教師が,最も力を入れたい分野として学級会活動を挙げている。これは,学級生活の諸問題の解決を図る活動や学級内の仕事の分担処理をする活動を通して,楽しく規律正しい学級生活を築くための学級会活動の重要性を認識し,その充実を図ろうと考えていることが分かる。
 しかしながら,資料1のように,実際には生徒はやる気をもって取り組んでいないのである。

4.話し合い活動の活発化を図るには

(1)事前指導の重視
 昨年,中学校特別活動講座を受講した先生方に,学級会活動の事前の準備について聞いたが,わずか11%しか実施していないという結果であった。
 生徒の活動を活発にするためには種々の手だてがあろうが,まず事前の準備すなわち事前指導が必要である。その中心となるのが,生徒自らの手になる学級会の企画・運営の立案である。この事前指導が十分であれば,活動はより活発化し,能率的に進められよう。

(2)議題の設定と提出の工夫
 教師の考えや年間計画による議題のみを多く取り上げていては,話し合い活動が硬直化し,形式的な話し合いになったり,極端な場合は発言が少なくなったりする原因にもなる。
 個々の生徒が,学級に共通する問題として話し合ってはしい議題を学級ポストなどに提出したものを,計画委員会などで取捨選択し,学級成員に次回の学級会で話し合う議題を明示しておく必要がある。このような準備をすることにより,議題が学級全体のものになるだけでなく,各自が話し合い活動への参加の心構えをもち,議題についての考えを自分なりにまとめることができ,話し合いへの積極的な参加につながるであろう。

(3)話し合いの基本の指導
 話し合い活動をより活発化し,充実したものとするためには,話し合いの基礎的・基本的ルールや心得を指導すべきであろう。これらは,学年始めのオリエンテーションとして,あるいは毎時の学級会活動の展開中にも随時指導していかなければならない。その内容としては,指案者の心得,発言のルール,上手な発言,参加態度などが挙げられる。

(4)教師の姿勢
 指導助言をするにあたっては,生徒の自主性を尊重し,生徒の多様な発想・発言を広く受け止め,できるだけ生徒の力で結論を出させるようにしたい。また,話し合い活動に参加している生徒を激励し,賞賛し,容認する教師のひとことが,話し合いを活発にする要因にもなる。
 このような教師の姿勢とともに,計画委員会,話し合い活動,実践などの活動に際しても,生徒への心のこもった指導助言の積み重ねが大切である。

(5)学級の雰囲気づくり
 話し合い活動を円滑に進め,より建設的な考えを引き出すためには,話し合いに参加する学級成員間に,他人の意見を受け入れる,あるいは尊重する−という雰囲気が醸成されていなければならない。このことは,学級会活動以前の問題ともいえるが,教師の姿勢とともに,話し合いを活発にする二本の柱ともいうべき重要なことでもあるので,教師は学級での生活全般を通して常に配慮していく必要がある。ひいては,この学級の望ましい雰囲気が,すべての教育活動に生きて働く源泉にもなるのである。

5.おわりに

 以上述べた手だてのほか,朝・帰りの会の活用,小集団での話し合いの訓練などが考えられる。しかし,話し合い活動は教育の原点といわれるほど重要なことであり,手だてを考えることはもちろん大事だが,生徒の立場に立って考えるということを忘れないではしいものである。


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