福島県教育センター所報ふくしま No.72(S60/1985.8) -012/038page

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生徒指導

学校生活における生徒の生きがいを考える

経営研究部  松本 喜男

1. はじめに

 生徒指導についての話し合いの中で,しばしば話題になるのが,生徒にとって「生きがいのある学校」についてである。
 生徒に生きがいがあると感じさせることは,我々教師にとって最終目標であるとともに,現今における重要な課題でもある。
 したがって,このことと授業や特別活動とのかかわりについて述べてみたい。

2. 授業の充実

 生徒の在校時間の割合を見た場合,各教科の時間が最も多く,しかも教師との触れ合いの上からも長い時間である。そして,この教科の時間は授業の内容によっても異なるが,何らかの形で拘束されている時間といえる。
 このような状況において,一時間一時間の授業が生徒にとって魅力あるものであり,わかる授業でなかったとしたら,これ程苦痛なことはないのではないかと思われる。
 生徒の性格や能力によっても異なるので一概には言えないが,授業の内容がわからない,楽しくないとすれば,生徒のとる態度の中には,自分勝手なことをしたり,あるときには授業から離脱したりするという態度になるのではないだろうか。これが生徒指導上の問題につながると予想される。
 このように考えるとき,生徒が授業に魅力をもち,学校を楽しい場とするためには,授業の充実が大きなかなめの一つであるといえる。

(1)生徒の望む授業の進め方
 84年版中学生白書によれば,教科の授業の進め方で,生徒が教師に一番望むこととして,次のようなことを挙げている。

        生徒が教師に望む授業の進め方
生徒が教師に望む授業の進め方

 この結果からも明らかなように,生徒はわかる授業を求めている。これらを要約すれば,「授業のポイントを的確におさえ,ときどきユーモアをまじえながら,よくわかるように教えてくれる」授業ということになる。
 私たち教師は,このことを謙虚にうけとめ,授業の内容・方法の改善に努力しながら,よりよい授業の創造を目指すことが大切であると考えられる。

(2)よい授業のもたらすもの
 よい授業は,教師の側にも,達成,充実,満足等をもたらすものであろうが,生徒たちには何をもたらすであろうか。
 それは,授業の過程で,わかったという満足感,学習する楽しさであったり,次の授業を期待し,楽しみに待つ心をもたせることであろう。
 そして,授業を契機として,自分なりに調べてみたい,勉強してみようという余韻を残すことである。
 更に,重要なことは授業を通して培われる生徒同士,あるいは教師と生徒との触れ合いを見落とすことができない。
 生徒指導は機能概念であると言われるように授業そのものが生徒指導であり,授業の充実,とりわけ,わかる授業の推進が生徒の授業への魅力につながり,ひいては学校生活への魅力へと発展していくものと考えられる。


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