福島県教育センター所報ふくしま No.72(S60/1985.8) -015/038page
研究実践校紹介
自然環境とのふれ合いを深めつつ体力つくりの生活化を図る
白河市立関辺小学校長 理崎 三郎
1. はじめに
文部省の体力つくり推進指定校としての研究期間が終了した昭和59年度から,自主研究という形で同じテーマで継続し,その発展として,特に子どもに子どもらしい生活を定着させるために恵まれた自然環境の中で,のびのびと思う存分活動させる工夫や,「できた」喜びを共にわかち合える子どもの育成,一日中子どもたちの歓声がこだまする学校を目指して実践を進めている。
2.研究のねらい
本研究のねらいを具体的に記述すれば,次のようになる。
(1) 自然環境とのふれ合いを深める。
- 子どもたちの周りに自然が豊かに存在するというだけでは問題は解決しないと考える。都市と農村とを問わず生活の習慣や形態が一変してしまった現在,農村の子どもであっても自然から遠のき無関心は進行している。それで,意図的に子どもたちの生活の中に自然とのかかわりあいをもたせることが必要であると考える。
- よく遊びよく学べという子ども本来の生活のパターンを身につけさせることも重要であり,そのためにも,子どもと自然との本来の結びつきを復活しなければと強く考えた。
(2) 体力を身体的作業能力と抵抗力の二面からとらえ,これを共に重視したいと考えた。
- 身体的作業能力の面では活発な動きを基本として,低学年では特に調整力・巧ち性高学年では上記のものに更に筋力と持久力を高めることに力を入れることにした。
- 抵抗力の面では,暑さや寒さに対する耐忍性や身辺の危険なものから身を守る防衛本能,かぜに対する抵抗力などをつけることに力を入れることにした。
(3) 体力つくりの生活化を掲げたが,わたしたち自身多少の戸惑いを感じている。それは体力つくりは児童の生活そのものであって,大人のように意図的に生活化を図るというものとは本質的に異なるのではないかという点であり,実践の過程でその思いをいよいよ深めているのが実状である。
(4) 体力つくりは学校の内外を問わずあらゆる場で展開されるものであるが,教科体育での方向づけ,意欲づけが基本になるものと考えている。
実践活動の意図
具体的には
- 体育や外遊びの好きな子どもにしたい。そうすれば子ども本来の明るさやかっ達さがみられるようになるだろう。
- 暑ければ暑さ以上の魅力を外に,寒ければ寒さ以上の魅力を外にという考え方で場と機会の設定をすれば耐忍性の強い,適応力のある子どもが育つだろう。
- 童師一体の体力つくりの推進によって校内の人間関係が深まり,より豊かな人間性が養われるだろう。
(1) 教科体育を中核にする形をとってきた。特に体力つくりの意欲づけと生活化の上で効率が高いと思われる器械運動の領域を重視してきた。また,2箇学年合同の体育科の授業を取り入れることによって,技能の向上と縦の人間関係のふれ合いを図ってきた。
(2) 体力つくりの生活化を図るためには,業間体育や課外活動,創意の時間の活用も有効と考え,とりわけ集団行動や逆立ち運動,ゲームを重視して実施してきた。
(3) 施設設備を魅力あるものに充実することによって,子どもたちの活発な体育活動や外遊