福島県教育センター所報ふくしま No.72(S60/1985.8) -025/038page

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 ・ 混声合唱では,男女ともおのおの3組に分ける。
 ・ 全員が正しい音を出せるようになったら,ハミングにして「聴いて,聴いて」と言い,声を伸ばさせていると美しいハーモニーが生まれるようになる。
エ カデンツ三声唱
C Durのカデンツ
        C Durのカデンツ

 ・ 従来の合唱のように,3本のメロディーとして取り扱うのではなく,三声唱の連続で,C E G の分離唱 → C F A の分離唱→のつもりで自分の受け持つ音を見つけていく。
 ・ カデンツの楽譜を板書してもいいが,理論的な説明や,音楽の構造を話したりせず,耳だけに訴えることが大切である。
 ・C−d u rに慣れたら,いろいろな調で試みてみる。
オ 合唱の練習
 ・おのおののパートを分離唱の連続と見なし,分離唱のつもりで歌わせる。合唱曲そのままをピアノで弾きながら,一人一人が,その中へ自分のパートの音を,最初から歌詞で唱和させていくようにする。

3.分離唱を実践して
 <生徒の感想>
 ・ 音をとるのに,すごく神経を集中するようになった。(2年男子)
 ・ 他のパートの音が,よく聞こえるようになった。(2年女子)
 ・ 旋律に低音部をつけて歌うのが楽しくなった。(3年男子)
 ・ 響き合うと,体全体が溶けて行くような感じがした。(3年女子)
 <教師の感想>
 ・ 出だしの音が正確にとれなかったのに,和音からすぐにとれる生徒が大部分になった。
 ・ 真剣で気持ちよさそうな表情で歌う生徒が多くなった。
 以上のことから,どんなに難しい合唱曲を歌うことができても,自分のパートの人の声を聴いて歌うのが精一杯で,他のパートに対しての配慮,気配りができない合唱なら,本当の合唱のよさを味わったとは言えないと思うようになった。今後もこのような指導をつづけ,美しい曲を何曲か分離唱によって歌わせ,将来いつ,どこででも,ア・カペラ(無伴奏)で合唱ができるような力を身につけてやりたいと思っている。

(2)名曲の鑑賞
 生徒が,音楽そのものの持つ美しさ,神秘性を求めるようになるためには,教師が多く語るより,いわゆる名曲を1曲でも多く,また,集中して聴く機会をもたせることが最も有効と思われる。そのため,毎時間授業の始めにレコード鑑賞をさせている。曲目は,私自身が感動した曲や参考教材,あるいは共通教材でも演奏形態の異なるものを鑑賞教材としている。1学年70時間で70曲,3年間ではざっと175曲の名曲にふれることができる。曲は5分前後のものにとどめ,下の鑑賞ノートに感想を書く時間を含めても10分あれば十分である。

    鑑賞ノート「名曲にふれよう」
月 日 曲 目 作詞・作曲者 演奏形態 感     想
         
         
         

3 おわりに

 「好きこそものの上手なれ」 この言葉は,まさしく音楽学習に直結している。そこで私は,全ての子供に“音楽が好き”で中学校を卒業して行ってほしいという願いをもちながら,毎日の指導にあたっている。


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