福島県教育センター所報ふくしま No.73(S60/1985.10) -006/038page

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 ここに,コンピュータを導入することにより,設計製図という労力と時間のかかるものから人間を解放し,生産性の向上,高品質化,製品開発期間の短縮化などを図れば,フレキシブルな生産体制が可能となり,多様なニーズに応えることができるというのがCADの考え方である。
 CADの主眼とするところは,現在のところ次の2点としてとらえることができる。
1 データベース上に管理されている過去の類似設計例の瞬時検索および出図と変更作業の簡易化。  2 コンピュータシミュレーションによる数多くの設計案の検討や解析。

 構成上,本システムは,これらの内容にかかわる基礎として次のような点でCADに対する指導のための活用が期待できる。
1 設計例に関するソフトは,NCテープまたはカセット磁気テープにより随時保存できる。
2 過去の類似設計例の瞬時検索や出図と変更作業の簡易化は不可能であるが,時間にとらわれない関連作業を取り入れた実習は可能であり,このことにより,コンピュータを道具として活用することの意義やこれらに関する基礎技術への理解が期待できる。
3 分岐形のプログラミングにはややテクニックを要する面もあるが,教材内容の工夫次第によってシミュレーションによる設計案の検討や解析に関する発展的実習も期待できる。


(3)実践への試み
 今回は,FAPT言語による歯形創成シミュレーションをとりあげた。
1)設計の段階
JIS(日本工業規格)ではインポリユート歯形を規定しており,図3のような基準ラックを示している。
図3 インポリユート歯車歯形の基準ラックの歯形
 図3 インポリユート歯車歯形の基準ラックの歯形

 基準ラックを歯形とした工具を使って削り出される標準平歯車の寸法は表1のようになる。
表1 標準平歯車の寸法
 表1 標準平歯車の寸法

 標準平歯車は基準ラック形工具の基準ピッチ線が歯車の基準ピッチ円と接して歯切りしたものであり,基準ラックのピッチ・歯たけ・歯圧・圧力角を決めれば、すべての歯数の歯形を決めることができる。
 2)設計案の検討とプログラム編集の段階
 つぎにプログラムの編集の段階に移るのであるが歯形創成シミュレーションを中心とする設計案の検討およびプログラムの編集の手順を図4に,ハードの操作の手順を図5に示す。
図4
図4

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