福島県教育センター所報ふくしま No.73(S60/1985.10) -012/038page

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生徒指導

児童生徒のいじめの状況とその対応

経営研究部  藤本 忠平


1 はじめに
 今日,児童生徒のいじめの問題が全国的に深刻な状況にあることは周知の通りである。こうしたいじめが心身の発達期にある児童生徒に及ぼす悪影響は図り知れないものがある。今や教師は,家庭,地域,諸機関などの協力の下に.総力を注いでいじめの問題解決に取り組むことが求められている。

2 いじめの状況
 新聞紙上等で既に報じられているとおり,本県の児童生徒のいじめに関する調査(昭和60年6月義務教育課調べ)は,全公立小・中学校の生徒指導主事,主任を対象に実施され,小学校539校(回答率97.8%),中学校239校(同97.2 %〕の回答が得られた。回答によると「在職校で前年度1年間にいじめはあったか」という設問に対し,小学校539校中349校(64.7%),中学校239校中177校(74.1%)でいじめがあったという結果がでている。
 いじめの内容(重複回答)は,下に示す通り.仲間はずれ・集団による無視,冷やかし・からかいなどの精神的ないじめの外,中学校での言葉によるおどしや暴力など陰湿ないじめの傾向がみられる。

  <いじめの内容>
○小学校 仲間はずれ・集団による無視 28.1%
  冷やかし・からかい 19.4%
  いじわる・いたずら 13.6%
     
○中学校 仲間はずれ・集団による無視 20.4%
  言葉によるおどし 17.0%
  冷やかし・からかい 15.0%
  暴力 14.6%
  いじわる・いたずら 10.9%


 一方,「内外教育(第3644号)」の子供調査(名古屋市を除く県下の小・中学校各10校ずつの児童生徒12,812人対象,昭和60年4月,愛知県教育委員会調べ)の結果を部分的に抜き出してみると,いじめられた経験がある小学生は67.1%.中学生は34.5%で,小・中学生とも「同じ組みの子」にいじめられたという回答が最も多い。いじめられ方は,小・中学生とも「悪口をいわれた」がトップ(小学生56.7%,中学生52.2%)で,続いて「たたいたり,けったり,つねったりされる」「仲間外れ」「無視された」などである。いじめた側の人数は,小・中学生とも「2〜5人」が最も多く,いじめの集団化が現われている。
 逆にいじめた経験をもつ小学生は63.6%,中学生は44.6%である。これらの小・中学生がいじめの標的にした相手は図1に示すとおりである。

<図1>どんな子をいじめたか(子供調査)
<図1>どんな子をいじめたか(子供調査)
「その他」の内容=目立ちたがる子,勉強が苦手,運動が苦手,格好の悪い子,まじめな子,テレビやマンガのわからない子,転校生など

 この外,教師対象の調査結果によるといじめの動機は,小・中学生とも「面白半分がこうじて」が最も多く,次いで「性格的偏り」,更に小・中での順位は異なるが「注意がこうじて」「憎しみやねたみから」「うっ憤晴らし」などである。
 以上の調査結果やその他の各種資料等からいじめについて一般に次のようなことが認められる。
○いじめの動機
 面白半分,憎しみ,ねたみ,しっと,うっ憤晴らし,違和感,性格,注意,教師の不用意な言

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