福島県教育センター所報ふくしま No.73(S60/1985.10) -015/038page

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研 究 報 告

生徒指導の機能を高める特別活動の計画と実践化

いわき市立川部中学校校長(元いわき市立豊間中学校教頭) 日塔孝雄


1 研究の趣旨
 生徒指導は,自校の教育課程編成の主要な事項であり,展開していく教育活動全般の基礎となるものである。
 しかしながら,問題行動が多発している現況のもとで,生徒指導は.ともするとその対策が中心となり,いわゆる「積極的生徒指導」への配慮が見失われがちな傾向がみられ,学校の教育目標との関連を図り,生徒の自己実現への援助を中心課題とするという生徒指導本来の姿からすれば,改善,充実を期すべき課題は多い。すなわち,
(1)生徒指導は,生徒の生活,行動への管理的規制的活動として,ともすると問題行動対策が中心となりがちである。
(2)生徒指導は「教育課程外の活動」として受けとめられ,「機能」としての配慮に乏しい。
(3)領域活動における生徒指導計画についての認識が低く,諸計画が活用されなかったり,あるいは計画の変更が多く,教師の恣意による指導に堕しやすい傾向がみられる。
(4)そのため,学校の教育活動全体をとおした一貫性と共通指導の成立を困難にしている。
 これらの諸問題は,生徒指導が何であるかの正しい理解や認識の不足に起因するものと考えられるため,学校の教育活動全体をとおして生徒指導の機能が十分発揮されるよう生徒指導についての正しい理解を図るとともに,これまでの実践の見なおしをし,改善策を講ずることは極めて重要である。
 特に,前年度において,生徒指導のねらいと極めて密接な関係にある特別活動の領域において重点的な実践が行われたが,必ずしも十分ではないことから,今後の充実を期すべく本主題を設定した。

2 見とおし
 特別活動において,生徒指導とのかかわり合いについての理解をもとに
○ 指導方針.指導計画について認識を高める。
○ 指導のための機会や場の設定と運用の工夫。
 をすれば,生徒指導の機能を高める活動が効果的に実践されるであろう。

3 研究の方法と対策
(1)研究の方法
 1 実践状況の把握と問題点の明確化。
 2 過年度の研究成果の再確認と実践の場や時間の明確化。
 3 改善策とそれに基づく実践。
 4 資料収集,分析と研究のまとめ。
(2)研究の対象
 1 学級担任 6名
 2 全校生徒 222名

4 研究の概要と考察
(1)本校における特別活動の概要
 1 基本的考え方 (略)
 2 方針と実践計画
 「人間性豊かな生徒の育成」は,すべての教育活動をとおして行われるものであるが,特別活動は生徒指導のねらいと極めて深い関連をもつ領域であるため,指導計画の作成とその展開において.次の諸点を重視することとした。
 ア 本校生徒の実態からみて,集団活動を中心とする「生徒活動」「学校行事」において,「活動性」「自発性」を促進させるための活

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