福島県教育センター所報ふくしま No.73(S60/1985.10) -020/038page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

研究報告

衣生活に関心をもち積極的に実践する態度を育てる学習指導

会津若松市立城西小学校教諭  佐 藤  道


1 研究の趣旨
(1)研究の動機とねらい
 家庭科は,児童の身近な家庭生活を学習の対象として体験を通して学ぶ教科である。児童は家庭科をどのようにとらえているのだろうか。意識調査の結果 家庭科は,児童にとって大好きな教科のひとつであり,男女を問わず新鮮な興味を感じている。また,家庭科の学習は大事なものであると考えている児童が非常に多い。家庭科は大事であるという理由として,次のようなことをあげている。
○大人になって役立つから
○家庭で一生使うことを勉強しているから
○社会に出てひとりで生活する時に困らないように
 このことから,児童は家庭科を「生きて働く力」としてとらえていることがわかる。そこで,児童は家庭ではどのような仕事を分担しているかを見てみた。
<表1>    
領域 仕事の分担(人)

被服

○洗濯物のとりこみ・たたみ(5)

○下着の洗濯 (1)

○くつ洗い (3)

9.3

食物

○食事のしたく(3)

○配ぜん  (2)

○あとかたづけ(15)

○米とぎ  (2)

22.8
住居と家族 ○おつかい (16)

○植木の水くれ(16)

○部屋そうじ(10)

○玄関そうじ(9)

○ふろそうじ (8)

○生きもののせわ(5)

○新聞とり (2)

67.9

 仕事の内容から被服・食物・住居と家族の三領域に分類してその割合を見ると「被服」に関する仕事が著しく少ない。その理由として
○繊維が強くなったため補修などの必要がほとんどない。
○電気洗濯機の改良普及により,洗濯が能率的にできる。
 などである。このようななかでは児童の仕事も当然少なくならざるを得ない。しかし,く表1>に見られるように「せんたく」に関する仕事を通して衣生活に接点をもっている。そこで,六年生の学習内容である「上着のせんたく」に焦点をあて.取り替えた上着の処理はどうしているか,家族の一員としてどうすることが望ましいか,そのためには何を学ぶ必要があるかについて気づかせ,「上着のせんたくを通して主題にせまることにした。

(2)問題点
○洗濯に関する経験が非常に少ない。
○洗濯を自分の仕事の内容として考えることが少ない。
○洗剤の量や種類などについてわからない。

(3)原因
1 児童側
○洗濯物を出しておけば家の人がきれいにしておいてくれる環境の中では,洗濯を自分でしなければならないという必要感がない。
○調理や作品製作とちがい,洗濯はひとつのものを完成した喜びがわかないので実践に結びつきにくい。
2 教師側
○おどろきや発見を体験させ課題意識を明確に持たせた授業でなかった。
○実習というと,単に手順をおうだけの学習になりがちで原理に気づかせるような授業でなかった。
 そこで,家庭の中の仕事として経験的に行われ科学的に検討されることの少ない「せんたく」に少しでも科学の目をむけさせ,原理がわかって実践できるようにしたいと思い,次のような仮説を設定した。

2 仮 説
 上着のせんたくの指導において,原理がわかるような実験をとり入れ,おどろきと発見のある授業の組み立てをすれば児童の興味・関心は高まり

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育センターに帰属します。