福島県教育センター所報ふくしま No.73(S60/1985.10) -030/038page

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切っても切れない絆があることは,誰しも本能的に気付いている。無意味に言葉を繰り返す不注意な練習によって,この絆は損なわれてしまう。」
 LL授業で,Sqbstitution drillを行う場合は,このことを念頭において指導しないと,口頭練習はうまくいったとしても,LL授業そのものに興味を失わせることになる。
 個別指導を深化させるものとして,15分間のテキスト学習の後での「英語の歌」は,単なる息抜き以上のものがある。中学1年以来英語学習に関して,マイナス方向を向いている生徒たちが,和訳を参考にしての聴き取りに,熱心に取り組んでいる様子を見ると,様々な動機付けの必要性が感じられる。資料のテープ・リストからも分かる通り約100本の歌のテープから,400曲近くを教材として取り上げ,曲の由来等も含めて説明して来た。この他,テレビ・コマーシャルの英語の歌も有効である。
 聴解力があり設問を早く終える生徒には,スライドを使ってのQ&Aを行い,場面を特定しての短かい英会話に役立つよう約5,000枚のスライドが用意してある。会話力の低い生徒には,単語力を伸ばすための映像として,スライドを利用している。
 このようにして,ある程度英語で話すことへの抵抗が少なくなった段階で,教科書の対話文が多いレッスンを脚色して,テレビ撮り実習を行う。登場人物は2〜3人なので,48人のクラスでも24〜16ペアであり,1時間で収録は終わる。タイピン・マイクでクリアな音が入り,練習の成果は明確に表われるので,ペアで何週間も前からよく練習をしている。
 生徒に提示する映像教材としては,市販の教材ビデオテープ「Ticket to RideJ「Along theAmerican Way」,音声多重の洋画,以前録画したNHKの「テレビ英会話1,2」「Let's Enjoy English」「A step tO English」「Watch & Listen」等がある。最初から英語を聴き取らせるよりは,訳文から英語を類推させた後に,ヒアリングに入った方が効果的なようである。

3 使用機器について
(1)マスター・コンソール(50人用) 1
(2)教材送り出しテープレコーダー  3
(3)教材送り出しレコードプレーヤー 1
(4)テロップ送り出し装置      1
(5)アナライザー          1
(6)教材提示装置          1
(7)スライド・プロジェクター    2
(8)テレシネ16ミリ映写機      2
(9)VTR              6
(10)高速テープ・プリンター     2
(11)テレビ・カメラ         2
(12)モニター・テレビ(20インチ)  4
(13)音声多重テープレコーダー    2
以上の機器の中で,現在1番問題があるのは,モニター・テレビで,画面が小さいため文章の表示が鮮明でなく,長文の提示に苦労する。各個人かペアごとに1台のモニター・テレビがあれば習熟度別に,映像送り出しが可能になる。

4 教材について
 ハードはすばらしいが,ソフトが少なくて使えないということが,LLについてよく言われる。しかし,各生徒の実情を知っているのは,教えている教師自身であり,その生徒たちに合う教材は担当の教師しか作れないと言われている。音声教材については,予算的な面が何とかなれば,ほとんど希望するレベルの教材が入手可能になってきている。
 問題は音声教材よりも,効果的な言語活動を促すことができる映像教材の少なさと高価格である。映像処理の難しさもあって,思うような自作教材ができないため,市販教材を編集して使うことが多いが,画質の低下等もあり,もう一歩の感を免れない。

5 CAIとの関連について
 語学の面におけるCAI(Computer Assisted Instruction)は,本校でも緒についたばかりであるが,大きな効果を期待できる分野である。

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