福島県教育センター所報ふくしま No.74(S60/1985.12) -007/038page
結果を班ごとに比較させるとよい。
3.検証実験の結果と考察
当教育センターの畑の土と除草した草をつみあげておいた場所の土について,前記の実験法と同様の方法で検証実験を行った結果,コロニー数については下表のようになった。
上記の結果より,土1cm 3 あたりの細菌や菌類の数を求めると,次のようになる。
1 2 3 平 均 畑の土 31 40 33 34.7 堆肥の土 122 108 134 121.3
畑の土 34.7個体×5,000 = 173,500個体 堆肥の土 121.3個体×5,000 = 606,500個体 この計算結果より,畑の土1cm 3 中には17万個体,堆肥の土1cm 3 中には60万個体もの,細菌や菌類が生きていたことになる。
このカンテン培地は,養分としてはデンプンのみであるので,その他の養分を必要とする細菌等は生育できなかったものも多数あったのではないかと考えられる。アミノ酸等を加えた培地ではもっと多数のコロニーが観察されるのではないかと思われる。しかし生徒実験としては分解する物質が多数あったりすると,理解しにくい面ができたりすることも考え,デンプンのみの単純な培地とした。
次にヨウ素反応により,デンプンの分解のようすを調べた結果について述べる。
写真 1は堆肥の下の土について培養した3日後の状態である。これにヨウ素液を入れ,ヨウ素反応の現われたものが写真 2である。
このように細菌や菌類によるコロニーの部分が透明になっており,その周囲はあざやかな青紫色となっているようすが観察できた。
写真 1 コロニーが生じた状態
写真 2 ヨウ素反応によりあらわれたデンプン分解の状態4.おわりに
この実験は,分解者についての実験を通して,細菌や菌類が重要な役割を果たしていることを理解させると共に,カンテン培地を用いて,培養するという現代のバイオテクノロジー的考え方も理解させることができるものと考える。
コロニー数により目に見えない細菌や菌類の数も知ることができること,そして,ヨウ素反応においては,非常にあざやかに結果があらわれること等,生徒の興味,関心を引き出す実験教材として良い方法であると思われる。