福島県教育センター所報ふくしま No.74(S60/1985.12) -008/038page

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教育相談

Y・G性格検査からみた不登校生徒に関する一考察

教育相談部  野村 忠之

1. はじめに

 教育相談のために来所する生徒の訴える問題行動の中で,不登校を訴える生徒が増加している。
 不登校状態にいたる背景としては,本人の性格家庭や学校の環境など多くの要因があげられる。
 ここでは,その一つである本人の性格をY・G性格検査の性格類型を通してとらえ,性格と不登校の関係について考察してみたい。

2.Y・G性格検査について

 この性格検査は,アメリカの心理学者 J.P ギルフォードが考案した質問紙法の一つである。性格特性は次の12の因子で構成され,各因子の尺度を標準点とパーセンタイルで表現する。

・D − 抑うつ性(陰気,悲観的気分)
・ C − 回帰性傾向(気分の変化が大きい)
・ I − 劣 等 感(不適応感が強い)
・ N − 神 経 質(心配性)
・ O − 客 観 性(空想的,主観的)
・ Co − 協 調 性(不満)
・ Ag − 攻 撃 的(無愛想)
・ G − 一般的活動性
・ R − のんきさ(気がるさ,衝動的)
・ T − 思 考 的(内向,外向)
・ A − 支 配 性(指導性,リーダーシップ)
・ S − 社 会 的(内向,外向)
 性格類型は系統値で判定するが,その比率により典型,準型(A'.B'など),亜型(A".AB.ACなど)の3類型に区分される。
 典型性格は次のように示される。
典  型 因       子
情緒安定性
O,C,I,N
社会適応性
O,Co,Ag
向   性
G,R,T,A,S
A型(平均型) 平 均 平 均 平 均
B型(行動型) 不安定 不適応 外向(積極)
C型(平穏型) 安 定 適 応 内向(消極)
D型(管理型) 安 定 適 応 外向(積極)
E型(逃避型) 不安定 不適応 内向(消極)

3.不登校を訴えて来所した中学生50名のY・G性格検査の特徴

(1)性格類型
              ( )内数 女子

  判 定 人 数 小 計 出現率(%)
A A 1(1) 4(3) 8
A' 2(1)
A" 1(1)
B B 0 4(3) 8
B' 2(1)
AB 2(2)
C C 5(1) 12(6) 24
C' 4(3)
AC 3(2)
D D 2(1) 4(1) 8
D' 1
AD 1
E E 13(5) 26(11) 52
E' 11(5)
AE 2(1)
50(24) 50(24) 100

 出現率はE類型が52%,ついでC類型が24%,A,B,D類型が各々8%と同率を示す。ここでは,出現率の多いE,C類型を例にその特性を考察して見ることにする。

(2)事例から見た性格特性
 E,C両類型を該当者の各因子の得点の平均値をとってプロフィールで示してみると

  1.  E類型 − 不安定,不適応,消極型
    1. E類型 − 不安定,不適応,消極型
     D,C,I,N,O,Coが右寄りになり,情緒不安定・社会的適応性に欠けており,一方,Ag,G,R,T,Sは左寄りで,非活動的,内向的(消極的)な性格を示している。(−男子 …女子)

  2.  C類型 − 安定,適応,消極型
    2. C類型 − 安定,適応,消極型


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