福島県教育センター所報ふくしま No.74(S60/1985.12) -010/038page
生徒指導
生徒指導の推進に関する調査の実態
経営研究部 松 本 喜 男
1.はじめに
児童生徒の非行等の発生傾向は,戦後における第三の波と呼ばれており,その特徴も多様化,低年齢化,集団化の傾向が顕著になっているといわれている。
そこで,今後,様々な問題行動に対処していくためには,従来と異なった指導態勢の確立を図るなどして指導の充実を期さなければならないと考えられる。
したがって,ここでは,「全国教育所連盟」が行った,本県を含む生徒指導の推進に関する調査結果を基に,教師は生徒指導の現状等をどのように見ているのか,その概要を述べてみたい。2.教師の考える5年後の問題行動の予想
図 1において,今後「かなり・やや」増加するであろうと予想する問題行動を校種別に見ると,各校種とも,エ(丸囲み文字)女子の非行,ウ(丸囲み文字)性非行,ケ(丸囲み文字)社会性の欠如,キ無気力・無関心・無責任などからの非社会的な問題行動を上位に挙げている。
また,小学生の非行についての回答は,小学校の教師が49%,中学校の教師が約60%と比較的高い割合を占め,非行の低年齢化と関連しての小学校からの生徒指導の重要性を表している。
更に,今日問題とされている家庭内暴力や校内暴力は,今後増加するであろうと予想した教師は極めて少なく,直接的な暴力等が沈静化しつつあるということと無縁ではないように考えられる。
しかし,一方においては陰湿な「いじめ」という問題が顕著になり,校内暴力等の問題との因果関係があるのではないかとも懸念される。
次に,図には表示していないが,問題行動の予想を年代別に見ると,比率では多少の差はあるものの,20代,30代,40代とも女子の非行,性非行が増加すると回答しているのが70%以上となっている。そのうえ,20代,30代の教師の60%以上が小学生の非行が増加するであろうと予想している。
このことは,女子生徒の指導と小学校における生徒指導の重要性を示唆しているものといえる。
5年後の問題行動の予想
(かなり,やや増加するだろうの合計)
図 1 校種別 調査 59年9月
3.学級担任等から見た授業中の児童生徒の態度
図 2は,学級担任として指導しているクラス内で,授業中にしばしば見られる児童生徒の主な問題行動を示したものである。
特に目立った項目を挙げてみると次のようになっている。