福島県教育センター所報ふくしま No.74(S60/1985.12) -030/038page

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(3)組織  個人研究

4.実践の概要

(1)第1年次(1年生)の取り組み

  1.  児童の実態の把握
     入学時の各種調査資料や座席表に記入した記録をもとに,児童一人一人の個性や特性などをできるだけ多面的に理解しようと努めた。また,就学前の平仮名の読み・書きの習得状況の調査,鏡文字や左ききの有無,鉛筆の持ち方や姿勢,発音・発声の障害の有無などについても実態を把握した。
  2.  表現意欲の喚起
     学校や学級に一日も早く慣れさせ,遊びの場面だけでなく,学習の場面でも自分の考えたこと,感じたことを気軽に話せる雰囲気を作ることに努力した。
  3.  話し言葉を書き言葉に近づける
     無理なく文章表現に移行させるには,まず,音声言語による表現を生活語と文章語のまじり合ったものから,文章語の「ていねい体」,「普通体」だけでできるようにしていくことが有効であると考えた。そのために,
     ア あの,ええと,よ,さ,ねなどの間投詞を徐々に省かせる。
     イ 格助詞を落とさないようにする。
     ウ です。ますを使って最後まできちんと話すようにさせる。
     エ 質問をしたり,それに答えたりする場合に,適切な話し方になるよう言い直しをさせたり,教えたりする。
     オ 場面に応じて話し方の形式を教える。
  4.  かな文字の指導
     表音文字としての特性から,かな文字が書ければ,表現意欲をもとにどんどん文章として表現していくことができるので,重点的に指導に取り組んだ。
     ア 正しく読ませる。
     イ 大きく空書きさせ,筆順を確かめる。
     ウ ノートに正しく視写させる。
     エ 字形にも注意させ,鏡文字は代表例を取り上げて矯正を図る。
     オ 十分時間を取りながらも,教師と同じスピードで書けるよう繰り返し指導する。
     カ ことば集めをして語彙を増やし,それをノートに視写させることにより,練習の回数を多くして定着を図る。

             ことば集めの授業実践例(略案)
    学習活動・内容 時間 指導上の留意点
    1.本時のめあてを確認する。
    ・ことばあつめをしよう。
    (分)
    2
    ・平仮名だけでことばを作ることを知らせる。
    2.学習の方法を確認する。
    (1)母音のつくことばを探す。
    (2)日常生活の中から探す。
    (3)できるだけ多く集める。
    3 ・ことば集めをする方法や手順をしっかり確認し,意欲を高めるようにする。
    3.ことば集めをする。
    (1)あたまに母音のつくことば集めをする。
    (2)一字からできていることばを探す。
    (3)二字からできていることばを探す。
    (4)三字からできていることばを探す。
    25 ・文字カードやつみ木カードなどを用いて視覚に訴える板書を工夫し,考えやすいようにする。
    ・口形や発音,声の大きさなどに気をつけて発表させる。
    ・なるべく全員に発表させ,同じものでも認め,励まして成功感を味わわせる。
    4.語のでき方に気づく。
    (1)手を打ちながらはっきりと発音する。
    (2)母音のつくことばを正しくノートに視写する。
    10 ・はっきりと発音させ,視覚・聴覚に訴えて字数を確かめさせる。
    ・姿勢,鉛筆の持ち方,筆順を正しくおさえさせる。
    5.「名前の中に何がある」遊ぴをする。 5 ・余裕があればしりとり遊びなども紹介し,生活化を図る。

  5.  何をどう書かせたか
     日常生活の中で見聞したり,経験したり行動したりしたことを,「何がどうした。」とか,「何がどんなだ。」など,表現しようとするものを明確にとらえさせ,構成の単純な文章として,順序をたどって書かせた。文章表現に必要な言語事項の内容もおさえながら,教科書教材の表現領域の単元の指導と併せて指導をしてきた。
     ア 6月下旬(作文)
     遊んだときのことを,「いつ,どこでだれと,なにを」をおさえながらよく思い出させ,主述の整ったまとまりのある日記を書かせる。
     イ 7月中旬(絵と作文)
     自分がした事や読んだ本のことから書


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